絶滅 Extinction

 Extinction 2018年

主人公は技術者だが、自分や家族が襲われる悪夢にとりつかれてる。奥さんは主人公より出世しているようだが、主人公の精神状態を気にしている。二人には女の子が二人いる。奥さんの誕生パーティーの夜、突然、空には無数の飛行物体が現われ、街の破壊と殺戮が始まる。主人公の家族は逃避行を始めるが、その途中で奥さんが負傷する。そして、思いもかけないことが明らかになってゆく。



extinction は絶滅、消滅といった意味。この映画はもともとコロンビア映画が劇場公開を目指して制作。しかしNetflixがそれを購入して配信した(Extinction Wikipedia)。人工知能と人類との関係について、両者の対立を描いた映画は多い。この映画は人が絶滅し、人工知能が家族と社会を持つ、未来の地球を描いている。人工知能(AI, synthetics)たちは人間のように、家族、仕事、家族、仕事という生活を繰り返し行っている。なお邦題は『エクスティンクション 地球奪還』である。センスの悪さに仰天したので、この邦題は無視することにした。
なおSurrogates (2009)が描く未来像とにている。



   Across the Universe Contact Doctor House   Dreamgirls 

   La La Land Lucy





アクロス・ザ・ユニバース Across the Universe

 Across the Universe (2007)
女性監督のJulie Taymor (1952-)によるミュージカル映画。全編にわたりビートルーズの音楽を入れている。その歌詞を生かす形で脚本が書かれている。やはり女性監督のJessie Nelson監督のi am sam(2001)も全篇、ビートルーズナンバーだった。
この映画Across the Universeの興行成績は悪かった。またアメリカの一部の映画批評家からは酷評されている。正直少し難解なところや、概念的に作っているところを感じる。しかしこの映画をすごく高く評価する人もいる。評価が分かれている映画である。

My best film, The Coversation, Nov.2, 2020
BBC review on Across the Universe


最初、主人公Judeの発音が聞き取れなかった。そうかこれがリバプール訛りなんだと少し経って納得した。リバプールの造船所に勤めている青年Judeが父を捜してアメリカに旅立つところからお話は始まる。

Judeは造船所の労働者。煉瓦造りの工場、一見してそれと分かる労働者住宅。

続く場面はプリンストン大学のキャンパス。そこでJudeは用務員として働く父との再会を果たす。父親は第二次大戦中に米軍兵としてリバプールに駐屯。しかし帰国後生まれたJudeのことは知らないまま過ごしていた。再会を果たした夜Judeは学内でいたずらをしていた青年たちを助ける。そこでJudeは青年Maxと知り合う。その後Maxは自宅にJudeを招待する。そこで出会うのがMaxの妹のLucyである。

Maxの家庭の描写はいかにも裕福な家庭を思わせる。感謝祭の食卓を囲んで大学を辞めて放浪したいというMaxに苦学して成功した父親が問う。何をするか(職業)が問題だと。意見を問われたJudeは、大事なことは職業に取り組む姿勢ではないかと答えている。

時代背景はベトナム戦争の最中。青年たちには徴兵の恐怖がある。黒人の暴動など社会は不穏。そうした中でMaxはJudeを連れてニューヨークに移り新天地を求めようとする。Maxたちは長距離バスでニューヨークに乗り込んでゆく。

残されたLucyのもとに恋人がベトナムで戦死したことが伝わる。加えて大学を辞めたMaxには徴集令状が届いてしまう。Lucyは令状を胸にニューヨークに向かうのであった。

この映画は、ベトナム戦争(米国=米軍は1964年7月末に起きたトンキン湾事件=米駆逐艦が、北ベトナムの魚雷艇により攻撃を受けた事件を口実に、北爆を行うなどベトナム戦争への介入を本格化した。しかし1971年6月にニューヨークタイムズは入手したペンタゴンパーパーの内容の報道を始め、トンキン湾事件が米軍によって意図的に起こされたことなど経緯を明らかにし、開戦の口実が作られたものであることを明らかにした。またニクソンは1973年1月とベトナムと和平協定を結び、ベトナム戦争を終結させるが、機密漏洩に神経質になっていたニクソン政権は、1972年6月、民主党本部へのCIAによる盗聴露呈=ウオーターゲート事件を引きおこす。ワシントンポストの一連の報道は最終的に1974年8月、ニクソンの任期途中の辞任をもたらした。)だけでなく、映画制作時に進行中だったイラク戦争(2003年3月に開始されたイラク戦争はイラクが大量破壊兵器を保有しているとの米国の主張が理由だった。しかし占領後、調査しても大量破壊兵器は見つからず、イラク戦争を開始してフセイン政権を倒したことの正当性に疑問符ついている。フセイン政権が、強圧的な政権で政敵を弾圧したことは事実だが、そうだとしても米国が戦端を開いたことの疑問は残っている。2011年12月、イラク戦争は最終的にイラクからのアメリカ軍の完全撤退で終了することになった。)への批判が含まれていることは明らかだと考える。こうした姿勢にアメリカでは反発する人も多いのではないか。
 加えて映画という特性を生かした意表を突く画面作りが次々に展開する(カラーを反転させたり同じ画面に複数の異なる映像を加えたり)。それだけにこの映画の好き嫌いは別れるかもしれない。好き嫌いがでるのは後段の幻想的映像の連続だろう。メルヘン的な部分はYellow Submarine(1968)を思い出した。カットごとに意匠を大胆に変えている。そのエネルギーだけでも驚嘆すべき作品だということはいえる。








Across the Universe trailer HD

The Beatles (1960-1970)
John Lennon (1940-1980)
give peace a chance (1969)

   La La Land Lucy

フィールド・オブ・ドリームズ Field of Dreams

 Field of Dreams (1989)

野球を題材にした映画だが舞台はアイオワの農場。主人公は農場経営に乗り出したばかり。トウモロコシ畑で作業していると「それを作れば彼がやってくる」という声が聞こえる。それというのは野球場field、そして彼というのはとっくに亡くなったShoeless Joeという伝説の野球選手だった。囲いこまれた農地をfieldというが、野球などスポーツをするための土地もfieldという。物語はそこから主人公と野球好きだった父との物語に移ってゆく。この映画は、伝統的スポーツとしての野球の話であり時を超えた和解の話でもある。主人公をKevin Costner、途中から主人公に加わる作家テレンス・マンをJames Earl Jonesが演じている。登場する球界を追われた野球選手たちが、主人公がつくったマウンドを見て問う。「ここは天国なのか」と「いやここはアイオワだ」と主人公は答える。「天国とはどういうところなのか」と主人公は問いかける。「天国とは夢が実現するところだ」と答えが返る。妻と娘が憩う姿を遠望して主人公は「確かにここは天国かもしれない」と述懐する。
Shoeless Joeは愛称で実名はJoe Jackson 1887-1951。大変優秀な成績を残した選手だったが、1919年の試合で八百長の疑いをもたれた。八百長を供述したとの話もあるが、強引な誘導があったのかもしれない。裁判では証拠不十分で無罪になった。しかし1921年にコミッショナーはJoeら8人全員を永久追放処分にした。映画でfieldに現れるのはこの選手たちだ。 
途中で入ってくる作家の名前はテレンス・マン、モデルはJDサリンジャー(J.D.Salinger 1919-2010)だとされる。学校の講堂でのテレンス・マンの本の禁書をめぐる議論は、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の禁書騒動をなぞったものとのこと。あるいはこのテレンスの本を巡る講堂でのやりとりは、追放処分になった選手たちへの同情と重なるのかもしれない。

Endingは感動的だがやや作為を残す。Pay it Forward (2000)のEndingを思い出した。しかしこれ以外にはないかもしれないのだが。








ドリームガールズ Dreamgirls

Dreamgirls (2006)
Bill Condon脚本監督。黒人女性歌手グループのThe Primettes, The Supremes, 1959-1977がモデルだが(映画の中ではThe Dreamettes, The Dreams)、脚色が入っており事実とは異なった点がある。1981年にミュージカル化されたものを2006年に映画化。Beyonce KnowlesやEddy Murphyの出演も話題になった。Beyonceが演じるDeena JonesのモデルがDiana Ross 1944-とされる。Jamie Foxx(Curtis Taylor)が黒人のレーベルを苦労して立ち上げる話、Effie White(Jennifer Hudson) が処遇への不満からグループから脱退して苦労する話などのお話があり、単線的な成功物語ではないところが魅力だ。そしてこの映画のもう一つの魅力はJenniferの歌唱力が随所で発揮されることでこれもまた楽しい。



Jennifer Hudson- And I am Telling You I'm not Going


Jennifer Hudson- I am changing


Biyonce Knowles- Listen


           Across the Universe Contact Doctor House   Dreamgirls 
          Extinction Field of Dreams Gandhi Hairspray 
                 La La Land Lucy
        Million Dallar Baby Olympus Has Fallen Passengers 
         The Bank The Banker The Blacklist  The Good Doctor 
     The Great Wall The International The Midnight Sky The Night Agent
               The Queen's Gambit The Shawshank Redemption 
                  Film Analysis


ヘアースプレー Hairspray

 Hairspray。1988年に制作された同名の映画が2002年にミュージカル化。それをさらに映画化したもの(2007年公開)。人種分離segregationへの反対という重いテーマを扱いながら、興行成績でも結果を残したミュージカル映画として有名。舞台は1962年のボルチモア。ただこの映画から1962年当時のアメリカが学べるという日本人の方のブログには疑問がある。映画では主人公Tracy(Nikki Blonsky)らの活躍で、テレビのダンスショー番組内での人種分離が廃止されるハッピーエンドで終わる。しかし、当時のボルチモアは、それほど進んだ社会ではなかった。正直な状態は、分離の解消を求める運動と分離の継続を求める勢力との争いのまさに渦中にあったように考えられる。
   大柄のJohn TravoltaがTracyの母親Ednaを演じたことでも話題を呼んだ映画だった。

 Danny Lewis, Historic Photos of Baltimore Show the real-life Hairspray, Smithonian Magazine, Dec.7, 2016
   Baltimore's Civil Rights Heritage
   The History of Baltimore


    hairspray full script pdfcoffee  
  hairspray script script-o-rama  

    you can't stop the beat

     by Queen Latifah(Motormouth)






         Across the Universe Contact Doctor House   Dreamgirls 
         Extinction Field of Dreams Gandhi Hairspray 
                 La La Land Lucy
           Million Dallar Baby Olympus Has Fallen Passengers 
        The Bank The Banker The Blacklist  The Good Doctor 
     The Great Wall The International The Midnight Sky The Night Agent
              The Queen's Gambit The Shawshank Redemption 
                   Film Analysis


注目の投稿

Classics of Economics REFERENCE: 1848-2023

The Young Karl Marx (2018) trailer Classics of Economics  REFERENCE: 1848-2023 John Locke 1634-1704     John Locke (2) David Hume 1711-1776 ...

人気の投稿