bullshit job 世の中には高給だが、本人も無意味だと思っている仕事がある。「どうでもいい仕事」bullshit jobがある。哲学者の故デヴィッド・グレーバーの言い方であり、同名のその著作はかなり話題になった。日本ではそれがちょうど、コロナ禍で医療従事者などエッセンシャルワーカーが注目された時と重なった。
エッセンシャルワーカーが重要な仕事をこなしているのに、経済的に恵まれていないこととの対比でbullshit jobが注目された。
ブルシットジョブの話は私には少し落とし穴があるように思った。そもそもここでどうでもいい、というのはグレーバー個人の価値判断によるもの。そこにグレーバーには無駄に見えても、ほかの人に取り大事なものがあるかもしれない。またbullshit jobの中の賃金は様々だと思う。またエッセンシャルワーカーの多くが経済的に十分報酬を得ていないとしてもこちらにも高給取りがおり、賃金は様々だと思う。
bullshit jobの議論は、自分の仕事の社会的意義に自信が持てない人々の自己卑下の気持ちにフィットして広がったように思う。
この議論には、エッセンシャルワーカーに経済的に恵まれない人が多くいることが、この資本主義社会の矛盾の表れでないかという問題提起が含まれているように思う。介護職の人たちが典型で、その状態を正すべきだことは賛成だ。ただbullshitが高給で、エッセンシャルが薄給かは一概にいえない。またbullshitが社会的にも意味がないことかは、詳しく見ないと断言できない。少し丁寧な議論が必要だ。
新井建一「クソどうでもいい仕事の本質を考える」2020/10/20 はグレーバーの定義を詳しく紹介している。
エッセンシャルワーカーとは 社会インフラを支える人々という言い方が良いと思うが定まった定義がない。非常時にも出勤を求められる人々だともいえる。
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