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ディストピアとしての中国 China as a dystopia


China as a dystopia
  utopia=理想郷の反対をdystopia 反理想郷、暗黒世界という。中国をディストピアdystopiaだという言い方がいつ始まったかは、まだ確定できないが、ゼロコロナ政策を実行する中国をディストピアだと批判する意見が高まったことは事実だ。ゼロコロナ政策に伴う、都市封鎖あるいは居住区の封鎖。それに対して、人々を監視し、人々の自由を奪い、閉じ込める、といったマイナスのイメージが高まったことも事実だ。ほぼ同時期に香港において、中国政府が一国二制度の国際的な約束を自ら破り、香港の人々が享受していた言論・思想の自由を奪ったことは、中国のマイナスのイメージを強めた。なおこの議論の内容は、デジタルレーニン主義Digital Leninismで議論される内容、中国がデジタル技術を駆使した監視社会であるという議論と重なっている。
 これに対して、社会が個人情報が流通することで便利になる側面を強調する議論があるが、そうした議論をする人が議論を避けているのは、中国の政治システムの問題である。政治の問題を忘れて経済の議論をすることには問題があるのではないか。

 中国共産党が目標に掲げてきた「共同富裕」は確かに、理想郷の一つの側面である。そして中国の経済発展も事実ではある。しかし政治制度の改善が伴っておらず、習近平政権のもとで民主化は却って後退した。支配政党は中国共産党だけであるとか(独裁の容認)、つまり政権党の選挙による交代を認めないといった政治制度の在り方は、前近代的である。中国の歴史を振り返ると、何度も民主主義的な思想は芽生えたが、それを抑えてきたのが中国共産党の主流派だといえる。この点で、なお中国の経済の発展だけを議論して中国の政治的遅れを容認する研究者もいるのは残念だ。
 たしかに問題は中国の人が現状をどう判断するかではある。私たち日本人が他国である中国の在り方を議論することには慎重さが必要である。
 なお暗黒世界のイメージは、しばしば終末論eschatlogyで語られる、最後の審判the doomsday後の世界=黙示録 アポカリプスthe Apocalypse or the Revelation, 黙示録後の世界=ポストアポカリプスpost Apocalypseと重なる。

https://note.com/hiroshifukumitsu/n/nbca97dd0ecf7
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Profile of Masaki Ina

稲正樹(いな まさき)  稲正樹 wikipedia 1949年生まれ 1973年北海道大学法学部卒 1977年北海道大学大学院法学研究科中退 1994年に北海道大学にて博士号授与。法学博士。 インド憲法の研究:アジア比較憲法論序説 北海道大学博士(法学)乙第4443号 1994...

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