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Major Writings of Hiroshi Goda

合田 寛 ごうだ ひろし 氏。1943年生まれ。神戸大学大学院(置塩信雄門下)修了後、国会議員政策秘書。退職後、政治経済研究所主任研究員。理事、評議員を歴任。タックスヘイブンで著述あり。「新しい社会主義」をも探求。

単著 「新しい社会主義」の課題 政経研究時報 26-4  2024/03 10-13

単著 「新しい社会主義」の展望と「近代的所有権」の再考 政経研究時報 26-2  2023/09  7-10

CiNii で著者合田寛

これでわかるタックスヘイブン:巨大企業・富裕者の税逃れをやめさせろ 合同出版 2016/11

タックスヘイブンに迫る:税逃れと闇のビジネス 新日本出版社 2014/09

格差社会と大増税:税の本質と負担のあり方を考える 学習の友社 2011/12

New Socialism: Democratic Socialism

Democratic Socialism 
 cf.   Classics of Marxian Economics ; History of Chinese Economics
                 Kishida's New Capitalism ; Welfare State
                    Marxian Economics  ;  Monetary Theory

解題:「新しい社会主義: new socialism」という言い方は、繰り返し違う意味で使われてきた。「民主社会党」が「社会党」から分離したとき(1960年1月)、掲げた標語は新しい社会主義だった。1960年代から1970年代、ソ連や東欧などで社会主義経済を行き詰まりを打破しようとした改革も「新しい社会主義」と紹介された。そしてソ連が崩壊する前後にも、人権や議会制度などを尊重する「新しい社会主義」が再び議論された。よく考えるとそれは新しい動きではなかった。レーニンによるロシア革命が成功したとき(1917年)、レーニンによる議会制度の否定:いわゆる暴力革命をどう評価するかで、ヨーロッパの左派は分裂した。ドイツの社会民主主義は、レーニンを批判し、議会制度を肯定する立場である。ロシアにも議会制度を守ろうとする考え方はあったが、それをレーニンは否定してしまった。だからレーニンは政権を取れた、という言い方は恐らく正しい。しかしそうした人権や議会制度を軽んじる社会主義なら要らないというのが、レーニン以降の一つの考え方であろう。
 ここで取り上げる「新しい社会主義」とは議会制民主主義と市場経済とを肯定する一方、個人間の所得格差の拡大、環境問題の深刻化など資本主義がもたらす諸問題を反省材料として、新しい社会システムの構築を目指す近年のさまざまな試みや提案を包含したものである。ソ連が崩壊したあと、新自由主義的経済思潮が強まり、世界経済の一体化(グローバリゼーション)が進んだ。その中で、所得格差・資産格差の拡大が進んだ。途上国の中には経済発展する国が生まれたが、まだ離陸できない国もあり、全体としては南北問題も拡大した。また地球の温暖化に象徴される環境問題も進んだ。以下では一歩進めて階級的国家観を否定して、すべての国民を支持基盤とした福祉国家を目指すことを新しい社会主義の骨格とする考え方を示した。

試論:ソ連や中国については、とくにこれらの国に見られた共産党による独裁は批判対象であり、模範ではない。
 経済の運営システムとして、市場経済システムを支持する。市場経済システムを通じた選択の自由、効率性の改善を支持する。他方で、市場経済システムが抱える限界や問題も意識する。所得や資産の格差はこのシステムのもとでは拡大しやすい。民主主義を確保するためにも、生じた格差を縮小する仕組みを導入する。所得格差・資産格差を修正する意味で、所得税における累進課税、公益目的の寄付を奨励し、資産に対する遺産税を支持する。資産格差・所得格差の拡大に反対するという意味でこの思潮は社会主義であり、併せて民主主義を擁護するこの思潮は、民主主義的社会主義democratic socialismあるいは社会民主主義social democracyだということもできる。
 市場経済システムでは、公益が軽視されたり外部不経済が生じることがあるほか、個人的利益が追求されがちである。これまですでにわかっている、こうした問題を縮小させる努力を続ける。公共財の供給、外部不経済の縮小に政府が責任があることを明確にする。競争上の不正を排除し、公正を担保するために、民間と政府とが協調して市場を監視し必要に応じて摘発する。経済倫理を重視する企業が、競争において優位になる仕組みを導入し、官僚の汚職や不正についても厳しく取り締まる。
 民主主義を支える個人の権利を擁護するという意味も込めて、福祉国家welfare stateを目指す。等しく医療、教育を受ける市民の権利を擁護する。所得にかかわらず普遍的にサービスが供給する。失業に対しては雇用保険とともに、職業訓練、学び直しの機会を確保することで対処する。このような議論が、新しい社会主義だとすると、これは日本の社会制度の現状と大きく乖離するものではない。

2016年
Trebor Scholz, Platform Cooperativism: Challenging the Cooperate Sharing Economy, Rosa Luxemburg Stiftung New York Office 2016/01
田畑稔 「アソシエーションの理論と実践」の前進へ:増補新版「マルクスとアソシエーション」刊行を機に 季報唯物論研究 134  2016/02   98-112
伊藤宏一 シェアリング・エコノミーとコモンズ論の展開 CUC view & vision 2016/03 42-46
間宮陽介 コモンズとしての社会的共通資本とそのマネジメント 水資源・環境研究29-2 2016 20-25
池上彰×佐藤優 希望の資本論 私たちは資本主義の限界にどう向き合うか 朝日新聞出版 2016/06  2015/03出版の同名図書の文庫化

2017年
芦田文夫 「市場経済をつうじる社会主義」と民主主義論 立命館経済学 65(5)  2017/03 3-32
market socialism, social capital 2017/08/15


2018年

The Millennial socialists are coming, New York Times, 2018/06/30
cf. Millennial socialism in wikipedia
マイケル・ヘラー著 山形浩生・森本正史訳 グリッドロック経済―多すぎる所有権が市場をつぶす 亜紀書房 2018/10
ジャコモ・コルネオ著 水野忠尚ほか訳 よりよき世界へ 岩波書店 2018/11 cf. Is Capitalism Obsolete? A journey through alternative economic systems, presentation by Giacomo Corneo cf. 書評 石川尚文 朝日新聞 2019/02/09
Towards Shareholder Socialism? An Interview with Giacomo Corneo, cicular conversation 2018/11/20
Giacomo Corneo, Some institutional design for shareholder socialism, Review of Social Economy 77-1, 2018/12, 1-23
宮田惟史 マルクスとアソシエーション:新社会のモメントは資本主義のなかにある 政治経済研究所政経研究 111   2018/12    72-90

What is the social market economy?  onlienkas  2018/12/03


2019年

Millennial socialism: A new kind of left-wing doctrine is emerging. It is not the answer to capitalism’s problems, Economist 2019/02/14
cf. デイヴィッド・ピリング著 仲達志訳 幻想の経済成長 早川書房 2019/03 (問題意識はわかるが、文章が冗長で読むのがつらい。) 
cf. PragerU  capitalism vs socialism  2019/03/04

Understanding Democratic Socialism, act.TV  2019/05/16



斎藤正美 資本主義的生産様式における労働様式から社会主義的生産様式における活動様式への展開 政治経済研究所政経研究 112 2019/06 37-45
Why Democratic Socialism is Gaining Popularity in the United States, CNBC, 2019/07/28
伊藤誠 新自由主義の克服と二一世紀型社会主義の可能性 科学的社会主義255 2019/07 28-37


2020年
Thomas Piketty, Capital and Ideology, 2020 cf.原書仏語版は2019年刊行. ピケティ著 山形浩生・森本正史訳 資本とイデオロギー みすず書房 2023/09  cf. 同書評 神林龍 朝日新聞 2023/10/14)cf. Interview with Thomas Piketty, FT 2020/02/12
ポズナー&ワイル著 安田洋祐監訳 遠藤真美訳 ラディカル・マーケット 脱・私有財産の世紀 東洋経済新報社 2020/01cf.柏木亮二 「価格」にラディカルな役割を 「ラディカル・マーケット」ほか NRIコラム 2020/03/19 cf.安田洋祐 ラデカルマーケットとは何かー資本主義を救う急進的な市場主義という処方箋 Newsweek日本版 2020/08/24 cf. 同書評 濱口桂一郎 労働新聞社 2021/07/01 cf. Glen Weyl on Wired UK 2019/03/27
Miatta Fahnbulleh, The Neoliberal Collapse-Markets are not the Answer, Foreign Affairs, Jan/Feb. 2020 
Jerry Muller, The Neosocialis Delusion-Wealth is not the Problem, Foreign Affairs Jan/Feb. 2020 

The Difference between Democratic Socialism and Socialism, NBC News Now, 2020/02/29

cf. カール・マルクス著 的場昭弘訳・著 新訳 哲学の貧困 作品社 2020/03

松村薫 AIで「新しい社会主義」は実現可能か リコー経済社会研究所 2020/05/01
斎藤幸平 全米の若者が熱狂する「新しい社会主義」 エコノミストonline 2020/05/25
cf. 的場昭弘 未来のプルードン 資本主義もマルクス主義も越えて 亜紀書房 2020/06

近藤康史 なぜ日本に社会民主主義は根付かないのか OPINION 2020/06/03
周来友 日本は世界に誇るべき「社会主義国」です Newsweek 日本版 2020/07/27
斎藤幸平 人新世の「資本論」 集英社新書 2020/09
ギャレス・デイル著 若森章孝ほか訳 現代に生きるカール・ポランニー 「大転換」の思想と理論 大月書店 2020/09
cf. エマニュエル・サエズ/ガブリエル・ズックマン著 山田美明訳 つくられた格差 不公平税制が生んだ所得の不平等 光文社 2020/09
cf. セルジュ・ラトウーシュ著 中野佳裕訳 脱成長 白水社 2020/10
占部まり 宇沢弘文の「社会的共通資本」が今。響く理由 東洋経済online 2020/10/30
森村進 私有財産は多すぎるか?競売されるべきか? 一橋法学19(3)  2020/11 19-63
ビンヤミン・アッベルバウム著 藤井清美訳 新自由主義の暴走 早川書房 2020/12
池上彰×的場昭弘 いまこそ社会主義 混迷する世界を読み解く補助線 朝日新聞出版朝日選書 2020/12

2021年
Christian Neuhauser, Property-owning democracy, market socialism and workplace democracy, Review of Social Economy 79-3 Jan.2021 554-580 
John E. Roemer, What is Socialism Today? Conceptions of a Cooperative Economy, Cowles Foundatin Discussion Papers 1-1-2020 
Tully Rector, Market socialism as a form of life, Review of Social Economy 79-3 Feb.2021 581-606

cf. Miesesmedia, What is socialism? 2021/03/24
大澤真幸 新世紀のコミュニズムへ 資本主義の内からの脱出 NHK出版選書 2021/04
ブランコ・ミラノヴィッチ著 西川美樹訳 資本主義だけ残った みすず書房 2021/06
Kristian Niemietz, Left turn ahead: Surveying attitudes of young people towards capitalism and socialism, iea research, 2021/07/06 
cf. 倉坂秀史 持続可能性の経済理論 SDGs時代と「資本基盤主義」 東洋経済新報社 2021/07
Rebecca Henderson, Reimagining Capitalism in a World on Fire, Stern Strategy Group, 2021/08/28


瀬能繁 社会主義化するアメリカ 日本経済新聞出版本部 2021/10

cf. 井上岳一 コモンズが開く地域の未来 日本総研ニュースレター 2021/11/01
斎藤幸平 カール・マルクス「資本論」2021年12月(NHK100分de名著)Mook NHK出版 2021/11
Rebecca Henderson, Reimagining Capitalism, Management Business Review, Winter 2021, 18-23
cf.飯田一史×瀬能繁 アメリカの若者が社会主義化している?「格差是正」を熱狂的に叫ぶ若者たち 現代ビジネス 2021/12/20
コロナ禍で大ヒット 人新世「資本論」 斎藤幸平さんに聞く"脱成長"の真意 ANNnews 2021/12/29

2022年
James Muldoon, Platform Socialism: How to reclaim our digital future from big tech, Pluto Press, 2022  cf. Platform cooperativism in wikipedia
Carnevali and Ystehede, Is socialism back? A review of contemporary economic literature, Journal of Economic Surveys, Jan.2022
伊藤誠 カール・ポランニー社会主義論 21世紀型社会主義の多様な可能性 高崎経済大学論集 64(2)  2022/01  1-16
二宮元 新自由主義とコロナ禍をのりこえ新しい社会を展望する 月刊全労連 2022/01 1-11
Giacomo Corneo, Progressive sovereign funds, Journal of Government and Economics 5 Spring 2022
 トマス・ピケティ著 山本和子・佐藤明子訳 来たれ、新たな社会主義 世界を読む 2016-2021   みすず書房 2022/04
 同上書評 根井雅弘 東京新聞  2022/05/15
福光寛 岸田首相の新しい資本主義に関する文献目録 Note 2022/10/17
Is capitalism actually broken? TED Ed. 2022/11/02
ニック・スルネック著 プラットフォーム資本主義 人文書院 2022/11

2023年
斎藤幸平 脱成長コミュニズムの実現に向けて シャプラニール 2023/01/27
安田洋祐(大阪大学) 新しい資本主義と社会的共通資本 環境省 2023/02
資本主義経済と社会主義経済 NHK for school 2023/02/07
Bruno Jossa, On Market Socialism, Elgar Online 2023/04
加藤正文 未来への航跡を描いて:「新しい社会主義」への挑戦 「世界」955 2022/04 159-161
ジェイソン・ヒッケル著 野中香方子訳 資本主義の次に来る世界 東洋経済新報社 2023/05
大澤真幸 資本主義の”その先”へ 筑摩書房 2023/06
松島斉 新しい資本主義 新しい社会主義:社会的共通資本の制度設計 「世界」970 2023/06 176-185
小林小百合 財産権としての情報の保護:憲法上の財産権論からの試論 一橋法学 22-2 2023/07 85-102
合田寛 新自由主義の破綻と「新しい社会主義」の展望 「経済」335 2023/08 85-99
従業員オーナーシップ・プラットフォームの"Teamshares"がSeriesDで累計254M調達 ATPARTNERS 2023/08/21  
cf. EBOのメリットとデメリット M&A総合研究所 2022/06/06更新
伊藤誠 「資本論」と現代世界:マルクス理論家の追憶から 青土社 2023/09
松井曉 ここにある社会主義 今日から始めるコミュニズム入門 大月書店 2023/09
合田寛 「新しい社会主義」の展望と「近代的所有権」の再考 政経研究時報 2023/09 7-10
Teamshares 従業員への株式付与がオーナー退職の中小企業を救う Note 2023/09/01
瀧俊雄 新しい社会主義をDXでかなえる、知られざる米Teamsharesの実践 日経XTECH  2023/10/16 

なお 従業員の代表を監査役に入れる形の従業員の経営参加がドイツそして韓国で行われており、従業員が株式を保有する持ち株会制度はアメリカ、日本、韓国で行われている。これらについては最近の論文ではないが以下を参照。
 陳浩 ドイツのコーポレート・ガバナンスの変容と監査役会改革の課題 立命館国際研究24-2 2011/10 537-574 
   梁先姫 韓国における従業員経営参加:従業員持ち株制を中心に 四天王寺大学紀要52 2011 265-281
    このほか
   持ち株会の仕組みや特徴について M&Aマガジン 2022/07/13更新 なお非上場会社については、従業員持ち株制度(J-Net21)を参照。



   

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Profile of Masaki Ina

稲正樹(いな まさき)  稲正樹 wikipedia 1949年生まれ 1973年北海道大学法学部卒 1977年北海道大学大学院法学研究科中退 1994年に北海道大学にて博士号授与。法学博士。 インド憲法の研究:アジア比較憲法論序説 北海道大学博士(法学)乙第4443号 1994...

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