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The threat of anti-espionage law in China

中国の反スパイ法の脅威

2014年 中国が反スパイ法制定

2024年 反スパイ改正法の施行

アステラス製薬 幹部社員拘束 2023.03   審査入り 24.03   起訴 24.08 

鈴木英司 中国の反スパイ法とどう向き合うか テレ東BIZ 2024.07.05


深津嘉成 中国の反スパイ改正法の施行(2023.07)とその内容・留意点 東京海上ディーアール 2024.06.25

稲村悠 スパイ容疑で中国で拘束された日本人を救う方法 東洋経済 2023.11.16

西村豪太 中国ビジネスに冷水「アステラス社員拘束」の恐怖 東洋経済 2023.03.28

関谷智 私はスパイじゃない(鈴木英司) NHK国際ニュースナビ 2022.12.23

            2016.07 帰国に際し空港で拘束 以後監視下で取り調べ
    2017.02  逮捕
    2019.05  一審で懲役6年 上訴するも 2020.11 上訴棄却実刑確定
    2022.10  刑期終え帰国 

川島真 中国のシャープパワーから見る北大教授拘束事件 nippon.com 2019.11.20

宮家邦彦 伊藤忠社員はなぜ中国で拘束されたのか ニッポン放送 2019.02.15

            2018.02. 拘束

市場レーニン主義 market Leninism


market Leninism レーニン主義とは共産主義運動を指導する思想であり、共産党の独裁を正当化する理屈を含んでいる。資本主義から社会主義への過渡においては、資本主義への揺り戻しを防ぐために共産党による独裁は必要であると。ところで、鄧小平の指導のもと中国は、経済システムの資本主義化を進めたが、中国共産党は共産党の指導=独裁を放棄しなかった。つまり、共産党の指導のもと、計画経済を市場経済に戻した。このことを、市場レーニン主義と呼んでいる。ただ市場レーニン主義は、日本ではあまり使われない。
 なおレーニンも、ロシア革命後の新経済計画NEPの時期に、つまり国家を共産党が抑えた段階(共産党による独裁となった段階)後で、市場経済の復活を容認した時期がある。それを国家資本主義state capitalismを推進すると表現している。この国家資本主義という言い方の方が日本ではよく見られる。なお中国の今日の在り方を、党国家資本主義party state capitalismだという人もいる。
 国家資本主義と市場レーニン主義とは、かなり似た意味で使われることがある。
 しかしこのような事態は、想定されていなかった。そこで多くの疑問が出てくる。まず市場経済を認めた現状は、社会主義なのか資本主義なのか。なお社会主義だというのが、中国共産党の立場である。社会主義だとして、ではなぜ共産党は独裁を放棄しないのか。これについては直接答えず、西欧的民主主義を実現する必要はない、との回答が返される。自分たちなりの民主主義を実現している、西欧的民主主義は、不効率で混乱を生むだけだと。
 このような中国の政治経済のありようは、市場レーニン主義と表現される。市場経済ではあるが、政治的に共産党が独裁を続けている。それはレーニンが、ロシア革命のあと、民主的な議会を否定したことを彷彿とさせる。 

 market leninism Collins English Dictionary
   state capitalism (wikipedia)
 国家資本主義(wikipedia)
 戦時共産主義から新経済計画へ
   ブレマー 国家資本主義の成長 2009
   ブレマー 自由主義の終焉 2010
   Market Leninism by Jonathan Daniel London, Sept.2011
   John Avlon, Market Leninism vs. the West, The Daily Beast, Mar.30, 2014 updated Apr.14, 2017
   Market Leninism:capitalism with Communist characteristics, Democracy Digest, Mar3, 2016  authoritarin capitalism 権威主義的資本主義だとしている。
 国家資本主義vs欧米型資本主義 東洋経済2019年4月5日
   中国の党国家資本主義 2021年

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  US-China decoupling Z-generation  


米中デカプリング US-China decoupling


US-China decoupling:米中ディカプリング。まずカプリングcouplingは結合という意味。その行為或いは部品を指す。Decouplingはその逆なので分離という意味。米中両国の貿易戦争が過熱する中、相手国からの輸入を制限から進んで禁止に至れば、過度な依存状態の修正(貿易摩擦trade friction)から進んで分離:US-China Decouplingを志向する段階に進んだと言える。両国の貿易依存関係の深さから、分離に至ることはないという解説がしばしばなされたこともある。しかしこれは台湾有事はない、と断言することと同じ、希望をのべているだけではないか。
 背景にある問題は、中国の経済発展が進めば、民主的な国になるという仮説(リプセット仮説Lipset Hypothesis, Seymon Martin Lipset 1922-2006)の崩壊である。実際には経済発展にもかかわらず、中国の民主化は進まなかった。あるいは独裁的な国で経済成長が生じた(開発独裁:development dictatorship)。むしろ習近平のもとで、個人的な独裁体制は強化されたと思える。その独裁体制で国内を締め付けるとともに、香港における民主主義を力で弾圧した中国は、今、台湾を脅かしている。リプセットの仮説は、中国の取引を拡大したい資本家経営者に都合が良かった。今は中国の政治の矛盾に芽をつむろう。しかし長いスパンでみれば、中国との経済交流拡大は中国の民主化につながると。しかし実際にはそうならなかった。

 共同富裕社会の実現
 中国政治の民主化
 非民主主義的政権は経済活動にとってどのような問題があるのか。行政の腐敗。社会のルールの透明性も問題もある。突然の方針の変更や刑罰・罰金などを科されるリスク。政治が不安定化するリスクなども考えられる。
 我々にとっては、この問題は中国リスクを高める。中国リスクを引き下げようとする動きは日本と中国のDecouplingを進めることとが二重写しに見える。
 中国上海で起きたロックダウン(2022年3月末~5月末)によるサプライチェーン途絶は、多くの日本企業が脱中国を模索するきっかけになった。2023年3月、日本の製薬会社幹部が、中国で反スパイ法容疑で拘束されたことも衝撃を与えた。すでに反スパイ法容疑で逮捕された日本人は14名に及ぶとされる。中国進出が危険と隣り合わせだということを、日本企業は認識すべきではないか。
 非民主主義国家、中国と国際社会はどう向き合うべきか。さまざまな中国リスクを警戒して、現在以上に中国と交流を深めることは避けようというのは、一つの方向性である。事実、対中国投資が広範囲に抑えられている(投資規模の縮小、新規投資の回避など)。この投資が清算・撤退に至れば、それは分離という段階だといえる。
 距離的に近い中国という巨大市場のメリットを考えて、なお中国投資を拡大するという選択を否定しているわけではない。しかしリスクの大きさとメリットとを、十分比較考量することが経営者には求められる。

 外国企業へのリスク増大 中国改正スパイ法、米当局が警告 Reuters 2023年7月1日
   米中デカプリングと日本株高 note 2023年6月29日
 「アステラス社員拘束」の恐怖 toyokeizai.net 2023年3月28日
 コマツ、中国子会社を再編 生産能力4割減 日刊工業新聞2023年3月14日 
 なぜ中国市場注力で成長遂げたコマツは今、急速に脱・中国を進めているのか 現代ビジネス 2022年10月13日
 ホンダ、中国抜きのサプライチェーン構築へ sankei.com 2022年8月24日
 マツダ、部品の中国依存脱却へ200社に協力要請 nikkei.com 2022年8月12日
 中国進出企業数減少傾向強まる 帝国データバンク 2022年7月22日

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ディストピアとしての中国 China as a dystopia


China as a dystopia
  utopia=理想郷の反対をdystopia 反理想郷、暗黒世界という。中国をディストピアdystopiaだという言い方がいつ始まったかは、まだ確定できないが、ゼロコロナ政策を実行する中国をディストピアだと批判する意見が高まったことは事実だ。ゼロコロナ政策に伴う、都市封鎖あるいは居住区の封鎖。それに対して、人々を監視し、人々の自由を奪い、閉じ込める、といったマイナスのイメージが高まったことも事実だ。ほぼ同時期に香港において、中国政府が一国二制度の国際的な約束を自ら破り、香港の人々が享受していた言論・思想の自由を奪ったことは、中国のマイナスのイメージを強めた。なおこの議論の内容は、デジタルレーニン主義Digital Leninismで議論される内容、中国がデジタル技術を駆使した監視社会であるという議論と重なっている。
 これに対して、社会が個人情報が流通することで便利になる側面を強調する議論があるが、そうした議論をする人が議論を避けているのは、中国の政治システムの問題である。政治の問題を忘れて経済の議論をすることには問題があるのではないか。

 中国共産党が目標に掲げてきた「共同富裕」は確かに、理想郷の一つの側面である。そして中国の経済発展も事実ではある。しかし政治制度の改善が伴っておらず、習近平政権のもとで民主化は却って後退した。支配政党は中国共産党だけであるとか(独裁の容認)、つまり政権党の選挙による交代を認めないといった政治制度の在り方は、前近代的である。中国の歴史を振り返ると、何度も民主主義的な思想は芽生えたが、それを抑えてきたのが中国共産党の主流派だといえる。この点で、なお中国の経済の発展だけを議論して中国の政治的遅れを容認する研究者もいるのは残念だ。
 たしかに問題は中国の人が現状をどう判断するかではある。私たち日本人が他国である中国の在り方を議論することには慎重さが必要である。
 なお暗黒世界のイメージは、しばしば終末論eschatlogyで語られる、最後の審判the doomsday後の世界=黙示録 アポカリプスthe Apocalypse or the Revelation, 黙示録後の世界=ポストアポカリプスpost Apocalypseと重なる。

https://note.com/hiroshifukumitsu/n/nbca97dd0ecf7
中国「社会信用スコア」への誤解はなぜ生まれたのか MIT Tech.Review 2023年1月4日 
中国における社会的信用システム なぜそんなに怖いのか Tutanota 2022年11月10日更新 
現在の中国は「秦の時代」に逆戻り 1984年がやってくる NewsWeek 2022年10月11日
中国でディストピアものが規制されないのはなぜか? Note 2022年3月4日
「監視社会=暗黒」図式で中国語る日本、重要な視点抜け落ち Globe 2020年7月13日更
SFのディスピア思わせる中国のコロナ隔離生活 AFP BB News 2020年5月12日
本当はネガティブじゃない監視社会・中国のリアル AMP 2020年3月8日
中国の「社会信用システム」分かりやすくイラスト解説 Gigazine 2020年1月8日

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