相沢幸悦 あいざわ こうえつ 氏の著述 1950年生まれ 法政大学卒業後 慶應義塾大学大学院。日本証券経済研究所、長崎大学、埼玉大学を経て、埼玉学園大学に勤めた。相沢はドイツの金融制度についての歴史的な勉強からスタートし、現代の証券市場、さらには資本主義の在り方まで広く書いている。ここでは比較的最近でデータの取れるものを掲げ、読んだ感想も付けて置く。同姓同名者がいないので綺麗な検索結果がでる。
相沢幸悦 webcatplus
相沢幸悦 booklog
CiNiiで相沢幸悦
論説 高度情報化社会における金融システム 季刊経済理論 58(2) 2021/07 48-62
→ この論説は面白かった。ただ冒頭で証券市場が資本主義の変革に役立つかと問題を立てたが、議論している中身は証券市場ではなく、株式会社のことであった。株式会社の性格のなかに、拡張的な資本主義の在り方を求めている点があるとの指摘は鋭い。株式会社の目的に社会的価値を取り込むことが解決の方向だという論旨も支持できる。途中でクラウドFの話をしているが、ネットを通じた資金調達の可能性の話と、様々な規制のもとに行なわれているクラウドFの話が混同されているように見える。また給与支払いのデジタル化の話も、面白いが、議論の流れからすると、なぜ話として入るのか、よくわからないと感じた。
論説 現代資本主義と証券市場の深化 明大商学論叢 102(3) 2020/03 91-105
→ もっとしっかり書いて欲しいと感じる。
動画 消費税増税後の日本はどうなる 日刊ゲンダイ 2019/08/08収録
論説 資本主義の成長停止と近未来 熊本学園商学論集 22(2) 2019/03 109-137
→ いわゆる「定常状態」支持の議論。basic income導入を冒頭述べているが 本文でその内容が展開されていない。basic incomeは、さまざま社会保障制度に代えてbasic incomeを支給して、その代わり自助努力であとはやりなさい、という制度だと思う。私はそうした極端なbasic incomeには反対だ。しかし、社会のすべての人々に、ある生活水準を保証することは、近代社会の大きな目標だと考える。つまりbasic incomeをどのようなものと考えるかに議論の余地があり、この点が展開されていない。
論説 連鎖的バブル崩壊と21世紀初頭大不況 経済志林 82(3) 2015/03 143-189
→ 論文というよりは軽い「読み物」であるのは残念。