通り魔phantom killer事件というのは、行きすがりに手当たり次第に人を殺すといったspree killer事件のこと。2025年1月22日夜、長野の善光寺ロータリーで起きた事件はまさにそれで、男性(49)は死亡、その他、男性(37)は重傷。あと女性(46)も負傷。
こうした特定の個人を恨んで凶行に及ぶのではなく、たまたま出会った人を殺害する無差別殺人事件は、日本では少ないとはいうもののときどき起きている。2024年12月14日夜に北九州市小倉区のファーストフード店で中学生の男(15)女(15)が刺され、女の子が亡くなり、男の子が腰に重傷に負った事件もそうだった。この小倉の事件では19日になって、43歳の無職の男が逮捕されている。
このように通り魔事件は件数は少ないかもしれないが、日本でも起きている。なおこうした事件で犯人に共通する特徴は、無職であったり、あるいは地域社会のなかですでに孤立した状態にあったことではないだろうか。
また特定の個人を狙ったものではないものの、ある集団を狙った事件では、多くの死者数を出す事件が、日本でも起きている。近年のものとしては2019年7月18日に発生した京都アニメーション放火殺人事件では、犯人の男性(犯行時41歳)の被害妄想が、ガソリンをまいて放火することにつながり、結果として36人が亡くなり、33人が重軽傷を負う、一大惨事になった。また2016年7月16日に発生した相模原障害者施設殺傷事件では、元同施設職員の男性(犯行時26歳)による重度障害者に対する歪んだ差別感情が、19人が亡くなり26人が重軽傷を負う大事件を生んだ。この二つの事件では、犯人男性の歯止めを失った感情が、大量の死者につながっている。いずれの場合も犯人には、前者では京都アニメーションの建物にいる人を襲うという、また後者では施設の重度障害者を殺害するという、明確なターゲットの設定がある。