更年期 menopause


 menopause   メネポーズ 閉経 更年期の問題は、かつては女性に特有と考えられていたが,近年は男性の更年期male menopauseも良く議論されている。ともに性ホルモンの分泌低下から起きる症状である。分泌低下には、加齢のほかストレスなど日常生活上の問題も関係している。

女性は50歳ころ閉経menopauseを迎える。卵巣が機能を低下させ、月経が停止するに至る。閉経の時期は個人差があり、日本人の場合、平均は50歳頃とされる。そしてその前後5年、45歳頃から55歳頃までの期間を更年期とよんでいる。この時、女性ホルモン エストロゲンestrogenの分泌が急激に低下する。脳からは分泌を促す指令が出続けるが分泌は増えないので、その矛盾が心身のさまざまな不調として現れる。

この時期の女性に多い、肩こり、頭痛、腰痛、疲れやすさ、怒りっぽいといった症状は、女性が更年期にあることと関係している。症状がひどい場合は、女性ホルモンそのものあるいは、それと似た働きをする物質の投与が有効だとされている。

男性の場合、男性ホルモン テストステロンtestosteroneの減少はゆるやかに進む。しかし、その男性にも女性と同様に更年期の問題(男性ホルモン値が低いことによる問題)があることが近年知られるようになった。

症状として、関節痛のほか、精神的な鬱(うつ)、意欲や集中力、記憶力の低下、認知力の低下、性欲の低下などが知られる。これを男性更年期とか、LOH症候群(late-onset hypogonadism syndrome)と呼ぶことがある。

症状が軽い場合は対象療法的治療となるが、症状が重い場合は男性ホルモンの投与が有効だとされている。

  更年期と運動の必要性

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コーヒーと尿結石 coffee and urinary stone


coffee and urinary stone  コーヒーが尿結石の原因になるという説があり、関心を集めている。コーヒーは紅茶、緑茶、チョコレート、ホウレンソウなどとともに蓚酸oxalic acidを多く含んでいる。これと尿中のカルシウムとが結合して蓚酸カルシウムcalcium oxalateの結晶になれば、まさに結石に他ならない。

 毎日習慣で飲んでいるコーヒーが、あの痛いとされる結石につながるとは。腎臓結石kidney stone、尿管結石、膀胱結石bladder stoneいずれも痛そうだーーこれはどこまで心配すればよいことなのだろうか。
 文献に当たってみると、全く逆にコーヒーは結石のリスクを下げるという論文も直近目にする。たとえば
 https://www.ajkd.org/article/S0272-6386(21)00712-5/fulltext
   リスクを下げるため、コーヒーの摂取量を減らすという議論も依然ある。たとえば
   https://www.kidney.org/atoz/content/calcium-oxalate-stone

 このように議論が錯綜する中でどうすべきか。リスクを下げる行動が提唱されている。ブラックコーヒーだとか、ブラックチョコレートなどを、空腹時にそれだけ摂取するのを避けるという考え方だ。できれば、食後に、また飲むときはミルクを入れて飲む。つまり蓚酸とカルシウムの結合を速めて、蓚酸が消化管から吸収されることを防げばよいという考え方がそれである。

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クモ膜下出血 subarachnoid hemorrhage


subarachnoid hemorrhage SAH  クモ膜下出血 サバラークノイドヘモレッジ エスエーエイチ(日本の医療関係者間ではドイツ語風にザーとよぶことがある)。クモ膜下出血。

(つまりhemorrhageとは出血bleedingのこと。だから内出血はinternal bleeding or internal hemorrhage, internal hemorrhaging。ついでに血液検査blood test, 採血blood draw, 輸血blood transfusionなどの医療英語を覚えておく。)

脳と頭蓋骨との間の領域がクモ膜下。ここを通っている脳動脈は丈夫な血管であるが、ここにまれにできる瘤bulgeは膜が薄く出血しやすい。出血すると、本人はこれまで経験したことがないまるでハンマーでなぐられたような衝撃を感じることがある。出血して死に至る場合もあるが、そうでない場合には自然に止血状態になる。出血後の症状としては、吐き気、嘔吐、視覚障害、意識障害などがある。ただし状態は不安定で再出血の恐れが高いので手術が必要である。

手術としては開頭して、瘤をクリップでふさぎ、水分を排出する管を挿入する。

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資本逃避 capital flight


capital flight  資本逃避。資本逃避と海外への資本移動とはどこが違うのか。両者は形式的には海外に資金が流出する同じ現象を指している。資本逃避とは個人であれ企業であれ、資本が元来の所有名義人や国籍を捨てて、国家の規制や統制から逃れようとする動きを指すものではないか。
 法人でも個人でもよいが、皆ある国籍(母国)に属して、資金を動かしている。ただそれは母国による、課税を含めた規制、統制さらには監視のもとにあるのと同義である。しかしもし、ほかの国籍の法人あるいは個人の名義の口座に自身の資金を移して(名義人を変えて)、かつ、この資金へのコントロール権を維持できれば、事実上、母国の規制や統制、さらには監視の目を逃れた自由なお金を生み出すことができる。
 母国での通貨の切り下げ、金利の引き下げなどを契機として、海外への資本流出が生じることがある。これはただちに資本逃避とは言えないのではないか。というのはそれは一時的であって、また母国に戻る、そういう短期的な動きかもしれない。加えて、そのお金の名義人が変わっていないとすれば、そのお金の動きは母国によって、捕捉され監視されている。これはまだ資本逃避とはいえないのではないか。
 一般に行われている議論では、海外への資本移動すべてを広く資本逃避と呼んでいる場合があるが、資本逃避は、元来の名義や国籍を離脱することにより国家の統制やさらには監視からも逃れようととする資本の動きに限定すべきではないか?
 以下の中国経済用語「資金外逃」が説明するように、租税回避地に受け皿になる法人を設立して、その口座に、資金を動かすことで(母国政府による課税や監視を回避しつつ)、実質的にコントロールをすることが可能になる。こうしたものが、本来の資本逃避ではなかろうか。

 資金外逃 中国経済用語
   資本逃避 マクロード

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チョークポイント choke point


 choke point  chokeとは相手を窒息させること。choke pointは窒息状態になる所を意味する。地政学では、そこを抑えられると、物流の死命を制せられたのと同じになるような海峡をchoke pointということがある。

 海峡以外がチョークポイントとされることもある。典型は、2020年に表面化した米国によるファーウェイ排除の動き(そのため米国はまず米国製半導体技術がファーウエイに供与されることを禁止した)である。排除の動きはその後、調達禁止から販売禁止に進んだ。これはファーウェイが次世代通信規格で優位に立つことに、米国が危機感を高めたからとされる。この場合は、次世代通信規格が米国のチョークポイントだった。
 その後の事例としては、2022年2月から米国がロシアに対する半導体輸出を許可制として原則禁止にしたこと。あるいは中国が2023年8月から、(半導体生産に不可欠とされる)レアメタル(希少金属)であるガリウム、ゲルマニウムの輸出管理を厳格化したこと。これはそれぞれ、チョークポイントである半導体の生産あるいは供給に関して、米国あるいは中国が、有利なポジションを取ろうとする行為だった。
    事業者にとってこの問題は、サプライチェーンのチョークポイントが利用できなくなると、システム全体が機能しなくなるリスクとして現れる。事業者としては、サプライチェーンのチョークポイントがどこかを認識し、チェーンの途絶といったリスクを低める対策(代替品、代替ルートなどの事前確保など)が必要である。
   なおchoke pointによく似た言葉にbottle neckがある。こちらは瓶でいえば首のところ、地形的にいえば狭まったところを意味し、経営管理上は生産・流通・販売などにおける、制約要因、阻害要因を意味する。事業者にとりbottle neckは、それを認識し、いかに解消するかが課題になる。

    Choke Points Harvard Business Review Jan./Feb.2020

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ブルシットジョブ bullshit job


 bullshit job 世の中には高給だが、本人も無意味だと思っている仕事がある。「どうでもいい仕事」bullshit jobがある。哲学者の故デヴィッド・グレーバーの言い方であり、同名のその著作はかなり話題になった。日本ではそれがちょうど、コロナ禍で医療従事者などエッセンシャルワーカーが注目された時と重なった。
 エッセンシャルワーカーが重要な仕事をこなしているのに、経済的に恵まれていないこととの対比でbullshit jobが注目された。
 ブルシットジョブの話は私には少し落とし穴があるように思った。そもそもここでどうでもいい、というのはグレーバー個人の価値判断によるもの。そこにグレーバーには無駄に見えても、ほかの人に取り大事なものがあるかもしれない。またbullshit jobの中の賃金は様々だと思う。またエッセンシャルワーカーの多くが経済的に十分報酬を得ていないとしてもこちらにも高給取りがおり、賃金は様々だと思う。
 bullshit jobの議論は、自分の仕事の社会的意義に自信が持てない人々の自己卑下の気持ちにフィットして広がったように思う。
 この議論には、エッセンシャルワーカーに経済的に恵まれない人が多くいることが、この資本主義社会の矛盾の表れでないかという問題提起が含まれているように思う。介護職の人たちが典型で、その状態を正すべきだことは賛成だ。ただbullshitが高給で、エッセンシャルが薄給かは一概にいえない。またbullshitが社会的にも意味がないことかは、詳しく見ないと断言できない。少し丁寧な議論が必要だ。 

 新井建一「クソどうでもいい仕事の本質を考える」2020/10/20 はグレーバーの定義を詳しく紹介している。
 エッセンシャルワーカーとは 社会インフラを支える人々という言い方が良いと思うが定まった定義がない。非常時にも出勤を求められる人々だともいえる。

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老眼 presbyopia

presbyopia   老眼 プレズビオピア or aged eyes, far-sighted 。年齢を重ねて誰もが悩むのが老眼である。近くにあるものを見ずらくなる。これに対して若いときに患うのは、近眼myopia   マイオピア or short-sighted である
 年齢を重ねて、目に出る不調には飛蚊症eye floatersもある視野の中に、虫のような黒い点が現れ、見る方向を変えると、それが一緒に動いて現われる。しかし飛蚊症は慣れることができれば、共存できる。
 また加齢により生じるものに白内障catarakt カタラクト(意味:大瀑布、大きな滝)がある。これは目の中のレンズ(水晶体lens)の成分であるタンパク質が、変質して白濁する現象。もやがかかったようにはっきりと見えなくなる(blurred)。白内障手術は、この水晶体を人工レンズに置き換えるもので、かなり改善される。
 深刻なのは緑内障glaucoma グラウコウマであるこれは眼圧の上昇により、視神経(optic nerve)が圧迫される(視神経や網膜が障害を受ける)ことによって、視野や視力が失われるというもので失われたものは回復しない。早期発見により、眼圧を下げる治療を行うことが重要だとされる。

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統合失調症 schizophrenia


schizophrenia 統合失調症 スキッツオフレニア 大きなストレスなどをきっかけに神経伝達物質のバランスが崩れ、幻覚(hallucination)妄想(delusion)に至るもの。そのほか、とても活発な陽性状態と、反対に引きこもる陰性状態を繰り返すこともある。幻覚や妄想はドーパミンの過剰分泌が原因だとされ、この分泌を抑える薬が処方される。一旦改善しても再発しやすいとされるが、他方で薬でコントロールすることも可能だとされる。
 統合失調症であった米国の数学者ジョン・ナッシュ(John Forbes Nash)の半生を描いた2001年の米国映画「A beautiflul mind」は、統合失調症の理解に役立つとして評価が高い。またナッシュ自身の生涯も参考になる。彼は生涯の中で何回も、統合失調症の重い症状に陥ったが、周囲の理解と暖かな環境によって、大学で教壇に立つまでに回復した。
 なお、ドーパミンの分泌異常が原因である点において、双極性障害bipolar disorderと呼ばれるものと、統合失調症には重なる点がある。双極性障害とはドーパミンの分泌が安定しないことで、躁状態と鬱状態とが繰り返し現れるもの。統合失調症は、ドーパミンが溢れて幻覚や妄想に至ったもの、とここでは整理しておく。いずれも薬でコントロールすることが一般的である。よく考えてみると、躁鬱のサイクルは、私たちも小さな波としては経験している。原因が本人がコントロールできない、体内でのホルモン分泌異常であることを理解し、その失調に悩む人たちを特別視しないことが、必要なのではないか。

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間質性肺炎 interstitial pneumonia



interstitial pneumonia 間質性肺炎 インタースティシャル・ノモウニア 肺の間質組織が線維化し硬化して次第に呼吸が困難になるもの。不思議なのは、喫煙の習慣もなく、空気も綺麗な郊外に住む知人が相次いで間質性肺炎になったことだ。原因が不明であることが多いとされるが、一因として医療関係者の間で指摘されているのが、薬剤だ。薬剤性肺炎drug-induced pneumoniaという言い方もある。日本人は薬剤性肺炎になりやすいという言い方もある。
 現在のところは、病状の悪化を抑え、進行を遅らせるしかない難病で、発症からの平均余命は5年から6年とされている。
 なお、高齢者看護で気を付けるべきものに、誤嚥性肺炎aspiration pneumonia アスピレーション・ノモウニアがある。飲み込む機能(嚥下機能 swallowing deglutition function)が衰えて、食物などが気管に誤って入ることで、細菌などにより肺で炎症をおこすもの。この対策として、口腔ケアoral careにより、口腔、つまり口の中の衛生を保ち、嚥下機能を維持することが重要だとされている。また、唾液の分泌を促すマッサージなども推奨される。

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自閉症 autism


autisim 自閉症 オーティズム 以下のような症状は自閉症が疑われる。親に対しても名前に反応しない、目を見て話さない、抱っこされたり触られるのを嫌がる。大きな音に過敏に反応する。ほかの人に関心を示さず、一人遊びを好む。時にヒステリーを起こす。自閉症の原因は、脳機能の異常にあるとされる。その症状がさまざまであることも知られている。
 なお自閉症は、発達障害の一つだとの理解から、自閉スペクトラム症Autism Spectrum Disorder: ASDと呼ばれるようになった。調査すると、20-50人に一人の割合で見つかるとされるので、極めてまれな症状ではない。女性より男性に多いとされる。
 自閉症者を主人公にした映画やテレビ番組が作られてきた。自閉症者への関心は、社会の少数者、社会的弱者への関心とも重なる。
 1988年に発表された米国映画「Rain Man」。Dustin Hoffman主演のこの映画は、サヴァン症候群(savan syndrom)と呼ばれる現象。すなわち一部の自閉症者が示す驚異的な計算力や記憶力などへの社会的注目を集めるきっかけになった。最近、より高度な能力を獲得して社会人として活躍する姿がテレビ番組で描かれるようになったことは注目される。たとえば医者として活躍する「The Good Doctor」(2013年制作の韓国版のリメイクとされる2017年から放送のFreddie Highmore主演の米国版が有名)、あるいは弁護士として活躍する「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」(2022年韓国で放送。2024年にシーズン2が製作との報道あり)など。

履歴効果 hysteresis


  hysteresis ヒステリシス 履歴効果 ある経済イベントの衝撃が、その後、情況が変わっても、履歴として経済効果を与え続けること。たとえば、深刻な経済不況の後、景気が回復しても、失業率がなかなか回復しないといった状況のとき、ヒステリシス(正しい発音はヒステリーシス)、履歴効果が働いているからだと指摘される。ではその理由はどこにあるだろうか。
 ヒステリーシスの議論では、失業が長引くと、①失業した人の技能が低下することで、あるいは②勤労意欲が低下することで、その後、景気が回復しても、失業率の回復がなかなか始まらない(あるいは生産性が回復しない)とする。この議論は、不況の長期化を説明するとき、不況という打撃により、①失業により人的資本が技能が低下するなど毀損する、②低い賃金に生活を合わせ賃上げ要求が出にくくなる、③人々が消費に抑制的になり消費拡大が生じなくなる、④企業が研究開発投資や設備投資の消極的になる、などから潜在的成長率自体が低下し不況が長期化するのは、まさに不況という打撃によるヒステリーシスが、働いているからだとする。
 よく似たニュアンスの言葉に経路依存性path dependency)がある。こちらは、制度や仕組みについては過去にそれを採用する決定が行われたわけだが、情況が変わっても、過去に出来た制度や仕組みがなかなか変更されないときに、使う。すなわち、新たな制度に変更しようとするとき、慣れている現在の制度や仕組みをどうするかという議論になるが、それはまさに経路依存性をどうするか、が問われていることになる。ヒステリーシスが、何か強い衝撃があと迄続く効果を及ぼすことを指しているのに対し、一度確立した制度や仕組みが、なかなか変わらないことを指している。

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ジョブ型雇用 job type employment



 job type employment  ジョブ型雇用 職種別雇用 雇用の在り方の問題として、従来、日本企業が行ってきたのはメムバーシップ型雇用(メムバーシップ型membership type employment)であって、これをジョブ型雇用に切り替えてゆくべきだとの議論が盛んである。従来、日本企業は具体的な仕事は、採用後、企業の判断で割り当てるとして、特定の職種を示して採用することがむしろ例外的であった。採用後、仕事を割り振ったあと、一定年数の仕事の経験値がある者の中から、管理職として適性のあるものが、選抜された。 つまり日本企業は、企業(会社)のメムバーにするかどうかが、採用の判断基準で、特定の職種で募集することは例外的だった。
 逆に言えば、最初の職種とその後の職種に連続性は担保されてなかった。ただ企業は、採用した人の雇用を維持しようとし、また採用された人も、定年退職までその企業にとどまることが多かった。こうした雇用を終身雇用(lifetime employment)といい、賃金体系は年功を重視した年功賃金構造(senority wage structure)とされることが多かった。こうしたメムバーシップ型雇用が日本で長く続いたのには、企業側、被用者側双方に雇用を安定させ長期雇用することにメリットがあったからだと考えられる。企業側からすればこのシステムは、企業への忠誠心の高い人の雇用につながった。被用者側にとっては雇用が安定し、若年時の低賃金がやがて年功による高賃金で報われることは魅力だった。
 しかし活力のある流動的な社会を作り出すには、雇用自体を流動化する必要があり、そのためには雇用の在り方を、ジョブ型雇用に切り替えてゆくべきだと主張されるようになった。コロナ下で多くの企業でテレワーク(work from home; telework)が進んだ結果、仕事の評価において、「勤務時間」よりも達成できた成果がより重視されるようになったことも関係がある。各職種で成果を達成できる人物の採用が必至となり、職種ごとに適性や能力の要件が厳格化した。採用後、すぐに成果を出せる人を採用する傾向が強まることになった。
 他方で、人の仕事を多くがAI(人工知能)に置き換えられるという議論も盛んである。次の時代の専門職は、このAIを使いこなすことが必須になるのではないか。

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同調圧力 peer pressure


 

peer pressure  同調圧力 多数の意見や行動に合わせるように、暗黙に強制すること。peerは同クラスの仲間という意味。意見や行動を一致させようと暗黙の力がかかれば、それは同調圧力。                    
 他方で、意見・行動において周囲に合わせようという意識が働くことを同調性バイアス(synchrony bias)と呼んでいる。集団の中での意見・行動においては、同調圧力がかかっている。そのもとで、同調性バイアスの心理もあって、人は集団内多数派と異なる意見・行動をとりにくいとされる。
 社会心理学では、自分の判断より社会で多数の人の判断を正しいと信じて行動することを、社会的証明の原理social proof)という。
 多くの人が購入しているものを購入しようとするのは、ほかの人の判断が正しいとして従っている(=social proof)わけだが、その方が安心できる、流行に乗りたいと言った心理も働いている。マーケティングではこれをバンドワゴン効果band-wagon effect)と呼ぶ。band-wagonとは、楽隊を載せて先頭を走る車のこと。人々がそれを追いかける様子を、この現象に重ねた言葉である。

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