インクルーシブ・マーケティング inclusive marketing


 inclusive marketing

 人種性別などの多様性に配慮した販売活動のこと。宣伝であればinclusive advertising。 この問題で私は google photosの見出し写真の問題を2023年4月にnoteのなかで提起したことがある。内容は転載すると以下のとおりである。要するに多様性を意識する中で、黒人ばかり使ったり、というのも行き過ぎではないか、という問題提起である。なおgoogle photos communityでも問題提起した結果、見出し写真は国際的に共通のものだと分かった。しかしそれでも違和感は私は残る。国際的な人種構成に配慮すれば、ほとんどが黒人という構成にはならないはずで、この構成は私としては疑問がある。
 長年疑問に思うのはgoogle photoの見出し写真の構成である。日本語の見出し文字があるので日本向けだろう。よくわからないのは写真の構成である。6枚のうち3枚は黒人の家族。アベックは黒人男性と日本人女性だろうか。パーカーを着た父子の写真は人種は不明としておこう。すると画面に写っているのは黒人が8人。黄色が3人。人種不明が2人だ。この構成がなぜ日本向けのgoogle photoに使われるのか。またなぜ長年変更されないのか?よくわからない。はっきり言えば日本向けとしては、この写真の組み合わせは失敗だ。いろいろな人種の人が使われることに反対ではない。ただこの構成だと、やはり黒人へのバイアスがかかりすぎている。その意図がよくわからないのでこの構成は気持ちが悪い。googleに勤めている人はこの写真構成を見て違和感はないのだろうか。

https://note.com/hiroshifukumitsu/n/n0afd4b2d0ec1
google photoの見出し写真について - Google フォト コミュニティ support.google.com


 autism   Baumol's cost disease   bulimia   bullshit job capital flight 
 China as a dystopia  choke point   coffee and urinary stone  concussion 
  dementia   digital Leninism   hysteresis inclusive marketing 
  infection disease interstitial pneumonia  job type employment  
  market Leninism   menopause  osteoarthritis  peer pressure
  presbyopia  schizophrenia stationary state  subarachnoid hemorrhage 
  US-China decoupling Z-generation  



市場レーニン主義 market Leninism


market Leninism レーニン主義とは共産主義運動を指導する思想であり、共産党の独裁を正当化する理屈を含んでいる。資本主義から社会主義への過渡においては、資本主義への揺り戻しを防ぐために共産党による独裁は必要であると。ところで、鄧小平の指導のもと中国は、経済システムの資本主義化を進めたが、中国共産党は共産党の指導=独裁を放棄しなかった。つまり、共産党の指導のもと、計画経済を市場経済に戻した。このことを、市場レーニン主義と呼んでいる。ただ市場レーニン主義は、日本ではあまり使われない。
 なおレーニンも、ロシア革命後の新経済計画NEPの時期に、つまり国家を共産党が抑えた段階(共産党による独裁となった段階)後で、市場経済の復活を容認した時期がある。それを国家資本主義state capitalismを推進すると表現している。この国家資本主義という言い方の方が日本ではよく見られる。なお中国の今日の在り方を、党国家資本主義party state capitalismだという人もいる。
 国家資本主義と市場レーニン主義とは、かなり似た意味で使われることがある。
 しかしこのような事態は、想定されていなかった。そこで多くの疑問が出てくる。まず市場経済を認めた現状は、社会主義なのか資本主義なのか。なお社会主義だというのが、中国共産党の立場である。社会主義だとして、ではなぜ共産党は独裁を放棄しないのか。これについては直接答えず、西欧的民主主義を実現する必要はない、との回答が返される。自分たちなりの民主主義を実現している、西欧的民主主義は、不効率で混乱を生むだけだと。
 このような中国の政治経済のありようは、市場レーニン主義と表現される。市場経済ではあるが、政治的に共産党が独裁を続けている。それはレーニンが、ロシア革命のあと、民主的な議会を否定したことを彷彿とさせる。 

 market leninism Collins English Dictionary
   state capitalism (wikipedia)
 国家資本主義(wikipedia)
 戦時共産主義から新経済計画へ
   ブレマー 国家資本主義の成長 2009
   ブレマー 自由主義の終焉 2010
   Market Leninism by Jonathan Daniel London, Sept.2011
   John Avlon, Market Leninism vs. the West, The Daily Beast, Mar.30, 2014 updated Apr.14, 2017
   Market Leninism:capitalism with Communist characteristics, Democracy Digest, Mar3, 2016  authoritarin capitalism 権威主義的資本主義だとしている。
 国家資本主義vs欧米型資本主義 東洋経済2019年4月5日
   中国の党国家資本主義 2021年

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Major Writings of Akira Matsumoto

松本朗(まつもと あきら)氏の著述目録。1958年生まれ。國學院大學、同大学院卒業後、愛媛大学法文学部を経て立命館大学(社会経済学, 貨幣信用論)。同姓同名の別人が複数以上いるので注意が必要。2001年以降で作成した。


cf.      家計調査 物価高で前年比実質1.1%減 NHK 2025/02/07 
cf.      米FRB利下げ見送り発表 NHK 2025/01/30
cf.      2024年のインバウンド消費は8兆円を超え、過去最高を記録した 国土交通省観光庁 2025/01/15

論説 アメリカのインフレとFRBの金利政策 経済 352 2025/01  49-57

cf.      日本銀行 金融政策の多角的レビュー 2024/12
cf.      インフレリスク懸念の中、米FRBが3会合連続利下げ BBC 2024/12/19
cf.      木内登英 非伝統的金融政策とは何か NRI 2024/12/18
cf.      唐鎌大輔氏に聞く「トランプ政権下で為替はどう動くか」 会社四季報online 2024/11/16 
cf.      長内智 歴史的な円安進行と為替レートの変動要因 Kinzai Financial Plan 2024/11 50-51
cf.      唐鎌大輔 円相場の基礎的需給環境の現状と展望 みずほMT 2024/10/08

論説 為替相場変動の原因と作用の変容:貨幣信用論の視点から 季刊経済理論 61(3)  2024/10    21-32

cf. 市川雅浩 円キャリー取引と日本株急落の関係について 三井住友DSAM 2024/08/22
       円キャリ―は円を売り高金利通貨を買うこと 円安 日本株高要因
  円キャリー解消 円高 日本株安要因 となる。
  円キャリー取引の正確な統計はなくシカゴの通貨先物取引の数値を参照値として使う。
cf.      唐鎌大輔 2024年主要通貨為替見通し~「強い円」は戻ってくるのか 2024/08 
cf.      潮目が変わった日米金融政策(植野大作氏) Reuters 2024/08/10
cf.      木内登英 日銀の金融緩和が生んだ円安・株高バブルは崩壊に向かうのか NRI 2024/08/02
cf.      唐鎌大輔 最近の円相場の需給環境について みずほMT 2024/07/10
cf.      市川雅浩 止まらぬ円安の背景―経常収支と金融収支で考える日本円の需給 三井住友DSAM 2024/07/04
cf.      止まらぬ円安 金融市場のFRB支配が鮮明に Bloomberg 2024/06/27
cf.      経済産業省経済産業政策局 経済産業政策新機軸部会第3次中間報告参考資料集 2024/06
cf.      日銀 過去25年間の非伝統的金融政策の効果や副作用分析 NHK 2024/05/21 
cf.      市川雅浩 日銀は円安をどう考えているのか 三井住友DSAM 2024/05/14
cf.      市川眞一 円安とインフレの悪循環 PICTET  2024/04/26
cf.      市川雅浩 経常収支の構造変化から考える円の需給 三井住友DSAM 2024/04/17
cf.      家計調査 12ケ月連続減少 企業はどう消費喚起? NHK 2024/04/05 

論説 50年ぶりの円安とその要因を考える 経済 343   2024/04  126-136

論説 バブル経済下の物価変動の変容から見たポスト・パンデミックおよびウクライナ戦争下の物価高騰の考察 季刊経済理論 61(1)  2024/04   26-36

cf.     円高になりにくい構造要因 野村AM 投資環境レポート2024/04
cf.     早川英男 円安が止まらない理由 東京財団政策研究所 2023/12/13
cf.  日本銀行企画局 非伝統的金融政策の効果と副作用 2023/12/04 
cf.     小玉祐一 為替相場変動メカニズム 調査レポート(明治安田総合研究所)2023/11/28

論説 Differences in unconventional monetary policy of both the Federal Reserve Board and the Bank of Japan, Journal of Economic Issues, 57(4)  June 2023 532-537

cf.     木村徹太郎 外国為替のトレンドファクターに関する考察 三菱UFJ信託銀行 2023/02    1-20
cf.     投資信託協会 日本の家計資産における所得資産格差 ジニ係数の国際比較と日本における推移 2023/01/23

報告 Differences in unconventional monetary policy of both the Federal Reserve Board and the Bank of Japan, AFEE/ASSA conference 2023, Jan.7 2023, 1-4

書評 飯田和人 現代貨幣論と金融経済 季刊経済理論 59(4)  2023/01  95-77

論説 インフレ進行下でのFRBの金融引き締めと日本経済 円キャリートレードと円安の影響 政経研究 119  2022/12 2-15

論説 非伝統的金融政策とバブル、インフレ 歴史と理論から読み解く 経済 327   2022/12 123-146

cf.      悪い円安 実質実効為替レート51年前の水準 政府や日銀の対応は 首都圏NHK 2022/09/08
cf.      増島雄樹 パンデミック下の為替の変動要因を追うー不確実性からファンダメンタルズへの回帰ー 国際経済 73  2022   125-153
cf.      田中聡一郎 コロナ禍と所得格差-日本の動向と国際比較 自治総研 524 2022/06  35-46
cf.      短期・中期・長期の視点で考えるドル円相場 三井住友DSAM 2022/05/26
cf.      上野剛志 まるわかり 実質実効為替レート 50年ぶりの円安という根深い問題 基礎研Report 5月号 2022/05/11
cf.      ウクライナ 物価高騰予想のもとでの為替、金利、株価 Note(福光)2022/03/11
cf.      第3章第3節 格差の動向と課題 日本経済2021-2022 成長と分配の好循環に向けて 2022/02
cf.      為替変動がわが国実体経済に与える影響 日本銀行「経済・物価情勢の展望」2022/01   40-43

講演 コロナ禍で拡がる格差 地域経済の課題は何か 社会システム研究 43   2021/09  25-41

書評 小西一雄 資本主義の成熟と終焉 いま私たちはどこにいるのか 政経研究 116   2021/06  135-141

cf.    川野祐司 金融政策と格差を巡る論点 世界経済評論IMPACT 2021/05/17 

共著 基礎経済科学研究所編 時代はさらに資本論 資本主義の終わりのはじまり 昭和堂 2021/05   352p.   担当 第5章 商品と貨幣

cf.     牧田健 国際比較で見た所得格差の状況―アメリカの特殊性と日本の課題 日本総研2021/03/05
cf.     牧田健 アメリカの所得格差-バイデン政権下での「分断」解消は困難 日本総研 2021/02/10
cf.      三田清人 我が国における資産格差とその拡大要因 経済学レビュー No.8 2021/03  34-74

編著 グローバル経済と累積債務の構造 晃洋書房 2021/03  198p.

cf.     大久保敏弘 コロナショックが加速させる格差拡大 NIRA 2020/09/15
cf.      Frontline Press  日本人は「格差拡大」の深刻さがわかっていない 東洋経済 2020/06/30
cf.     市川眞一 円/ドル相場の決定要因 PICTET 2020/06/16

論説 Consideration on Inequality, Corporate Governance and Financialization, Journal of Economic Issues   54(2)   June 2020   334-340 

共著 大橋陽・中本悟編著 ウオールストリート支配の政治経済学 文真堂 2020/02

論説 リーマンショック後の金融政策の特徴には変化があるのか 金融肥大化と変動相場制下におけるゲームのルール 信用理論研究 37  2019/05   39-61

論説 現在の国際通貨体制(変動相場制下)にゲームのルールはあるのか 立命館経済学 67(3)   2018/09    21-33

翻訳 ジャック・レアルドン「経済学教育の急進的な改革」 立命館経済学 66(5)  2018/01   516-540

論説 日本銀行の非伝統的金融政策の変遷と経済理論 マルクス経済学によるアプローチ 立命館経済学 65(6)  2017/03  142-156

論説 「異次元金融緩和」円安・株高:アベノミクスは国内景気回復をもたらしたのか 経済 239 2015/08 131-145

翻訳 ステファン・クルーガー「世界市場における価値法則の修正」 季刊北海学園大学経済論集 61(4)    2014/03  29-46

書評 石倉雅男 貨幣経済と資本蓄積の理論 政経研究 100  2013/06  96-102

論説 金価値と金価格の動向とその理論についての考察:最近のドイツにおける研究動向を参考にして 立命館経済学 61(6)  2013/03 1302-1317

論説 経済危機下における日本銀行の金融政策 日本の科学者 48(2)  2013/02  76-81

論説 金融・サービス分野でのTPP交渉と金融自由化 経済 204 2012/09 141-146

書評 頭川博 資本と貧困 2010年 季刊経済理論 49(1)  2012/04  82-84

論説 歴史的円高の構造要因を探る 経済 197    2012/02   101-111

書評 建部正義 金融危機下の日本銀行の金融政策 政経研究 96 2011/06 146-153

共著 基礎経済科学研究所編 世界経済危機とマルクス経済学 大月書店 2011/03

単著 08年恐慌 通貨体制の変化の視角から 経済 179  2010/08  144-157

単著 証券化についての原理論的考察 証券経済学会年報 45   2010/07   198-202

単著 物価変動の変容からみた2008年経済恐慌 季刊経済理論 47(1) 2010/04  25-35

単著 証券化についての原理論的考察 立命館経済学 58(5・6)  2010/03 1178-1190  

学会報告 証券化についての原理論的再検討 証券経済学会第72回大会2009/10/24

単著 入門金融経済―通貨と金融の基礎理論と制度 駿河台出版社 2009/04   139p. 

単著 書評 米田貢 現代日本の金融管理体制-日本型TBTF政策の検証 政経研究 91  2008/11 126-133

単著 学会報告 現代における金の貨幣性 日本金融学会2008年度春季全国大会2008/05/17

単著 誌上ゼミ 国際通貨・金融から考える 日米関係の異常 経済 142 2007/07 90-102

単著 紹介 ゼミ案内 社会経済学の視点から2007/04

単著 日米関係からみた日銀の超金融緩和政策 経済 136   2007/01  100-116

共訳書 井村進哉と共訳書 ゲイリー・ディムスキ著 銀行合併の波 バンク・マージャー・ウェーブ 銀行統合の経済要因と社会的帰結 日本経済評論社 2004/01 281p.

単著 インフレ、デフレの非対称性と資産デフレ 経済 94   2003/07 10-21

単著 書評 吉田曉 決済システムと銀行・中央銀行 金融経済研究 19 2003/03 111-113

単著 超金融緩和政策と「デフレ」とが共存する条件-インフレ発生の可能性をめぐる一試論 武蔵大学論集 50(3)   2003/02  91-111

学位 円高・円安とバブル経済の研究 で國學院 博士 2002/11/27

単著 デフレ問題をどう理解したらよいか 経済 79   2002/04  28-40

単著 バブルと不良債権問題 経済 75  2001/12   143-158

単著 不良債権問題とバブル期以降の銀行業 中小商工業研究 69 2001/10  25-42

単著 円高・円安とバブル経済の研究 駿河台出版社 2001/10  202p.

単著 日銀の量的緩和政策とインフレーション 経済 72  2001/09  118-142

単著 円高・円安の分析視角-外国為替変動の二要因に基づいてー 信用理論研究 16号 1998/05  1-16

単著 銀行本質論から見た郵便貯金問題 愛媛大学法文学部論集 経済学科編経済学 28   1994/09  71-90

単著 地域経済から見たビッグバン 経済科学通信 87   1998/07 48-55

単著 日銀特融はインフレマネーの供給になるか 行財政研究 35 1998/02  20-28

単著 為替相場・比較生産費構造・内外価格差 金融経済研究(11・12)  1997/03  6-17

単著 為替相場変動の地場産業への影響 郵政研究所月報 101  1997/02  77-89

単著 アメリカにおける金融不安定性の要因はなにか 愛媛経済論集 12(1)  1992/07  65-82

単著 実質為替相場と名目為替相場の理論的・実証的検討:70年代後半~80年代を事例として 愛媛経済論集 11(1)    1991/07   27-58

単著 信用制度の二側面についての考察:個別資本視角からの信用論の克服をめざして 愛媛経済論集 10(2)  1990/12  45-67

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なお為替相場について、私自身は次のように教えていた。
為替相場 Note 2019/07/07
また非伝統的金融政策については、以下のように教えていた。
非伝統的金融政策 goo   2017/09/30
そしてウクライナ戦争開始のもと
ウクライナ、物価高騰の予想のもとでの為替、金利、株価 Note 2022/03/11

米中デカプリング US-China decoupling


US-China decoupling:米中ディカプリング。まずカプリングcouplingは結合という意味。その行為或いは部品を指す。Decouplingはその逆なので分離という意味。米中両国の貿易戦争が過熱する中、相手国からの輸入を制限から進んで禁止に至れば、過度な依存状態の修正(貿易摩擦trade friction)から進んで分離:US-China Decouplingを志向する段階に進んだと言える。両国の貿易依存関係の深さから、分離に至ることはないという解説がしばしばなされたこともある。しかしこれは台湾有事はない、と断言することと同じ、希望をのべているだけではないか。
 背景にある問題は、中国の経済発展が進めば、民主的な国になるという仮説(リプセット仮説Lipset Hypothesis, Seymon Martin Lipset 1922-2006)の崩壊である。実際には経済発展にもかかわらず、中国の民主化は進まなかった。あるいは独裁的な国で経済成長が生じた(開発独裁:development dictatorship)。むしろ習近平のもとで、個人的な独裁体制は強化されたと思える。その独裁体制で国内を締め付けるとともに、香港における民主主義を力で弾圧した中国は、今、台湾を脅かしている。リプセットの仮説は、中国の取引を拡大したい資本家経営者に都合が良かった。今は中国の政治の矛盾に芽をつむろう。しかし長いスパンでみれば、中国との経済交流拡大は中国の民主化につながると。しかし実際にはそうならなかった。

 共同富裕社会の実現
 中国政治の民主化
 非民主主義的政権は経済活動にとってどのような問題があるのか。行政の腐敗。社会のルールの透明性も問題もある。突然の方針の変更や刑罰・罰金などを科されるリスク。政治が不安定化するリスクなども考えられる。
 我々にとっては、この問題は中国リスクを高める。中国リスクを引き下げようとする動きは日本と中国のDecouplingを進めることとが二重写しに見える。
 中国上海で起きたロックダウン(2022年3月末~5月末)によるサプライチェーン途絶は、多くの日本企業が脱中国を模索するきっかけになった。2023年3月、日本の製薬会社幹部が、中国で反スパイ法容疑で拘束されたことも衝撃を与えた。すでに反スパイ法容疑で逮捕された日本人は14名に及ぶとされる。中国進出が危険と隣り合わせだということを、日本企業は認識すべきではないか。
 非民主主義国家、中国と国際社会はどう向き合うべきか。さまざまな中国リスクを警戒して、現在以上に中国と交流を深めることは避けようというのは、一つの方向性である。事実、対中国投資が広範囲に抑えられている(投資規模の縮小、新規投資の回避など)。この投資が清算・撤退に至れば、それは分離という段階だといえる。
 距離的に近い中国という巨大市場のメリットを考えて、なお中国投資を拡大するという選択を否定しているわけではない。しかしリスクの大きさとメリットとを、十分比較考量することが経営者には求められる。

 外国企業へのリスク増大 中国改正スパイ法、米当局が警告 Reuters 2023年7月1日
   米中デカプリングと日本株高 note 2023年6月29日
 「アステラス社員拘束」の恐怖 toyokeizai.net 2023年3月28日
 コマツ、中国子会社を再編 生産能力4割減 日刊工業新聞2023年3月14日 
 なぜ中国市場注力で成長遂げたコマツは今、急速に脱・中国を進めているのか 現代ビジネス 2022年10月13日
 ホンダ、中国抜きのサプライチェーン構築へ sankei.com 2022年8月24日
 マツダ、部品の中国依存脱却へ200社に協力要請 nikkei.com 2022年8月12日
 中国進出企業数減少傾向強まる 帝国データバンク 2022年7月22日

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ディストピアとしての中国 China as a dystopia


China as a dystopia
  utopia=理想郷の反対をdystopia 反理想郷、暗黒世界という。中国をディストピアdystopiaだという言い方がいつ始まったかは、まだ確定できないが、ゼロコロナ政策を実行する中国をディストピアだと批判する意見が高まったことは事実だ。ゼロコロナ政策に伴う、都市封鎖あるいは居住区の封鎖。それに対して、人々を監視し、人々の自由を奪い、閉じ込める、といったマイナスのイメージが高まったことも事実だ。ほぼ同時期に香港において、中国政府が一国二制度の国際的な約束を自ら破り、香港の人々が享受していた言論・思想の自由を奪ったことは、中国のマイナスのイメージを強めた。なおこの議論の内容は、デジタルレーニン主義Digital Leninismで議論される内容、中国がデジタル技術を駆使した監視社会であるという議論と重なっている。
 これに対して、社会が個人情報が流通することで便利になる側面を強調する議論があるが、そうした議論をする人が議論を避けているのは、中国の政治システムの問題である。政治の問題を忘れて経済の議論をすることには問題があるのではないか。

 中国共産党が目標に掲げてきた「共同富裕」は確かに、理想郷の一つの側面である。そして中国の経済発展も事実ではある。しかし政治制度の改善が伴っておらず、習近平政権のもとで民主化は却って後退した。支配政党は中国共産党だけであるとか(独裁の容認)、つまり政権党の選挙による交代を認めないといった政治制度の在り方は、前近代的である。中国の歴史を振り返ると、何度も民主主義的な思想は芽生えたが、それを抑えてきたのが中国共産党の主流派だといえる。この点で、なお中国の経済の発展だけを議論して中国の政治的遅れを容認する研究者もいるのは残念だ。
 たしかに問題は中国の人が現状をどう判断するかではある。私たち日本人が他国である中国の在り方を議論することには慎重さが必要である。
 なお暗黒世界のイメージは、しばしば終末論eschatlogyで語られる、最後の審判the doomsday後の世界=黙示録 アポカリプスthe Apocalypse or the Revelation, 黙示録後の世界=ポストアポカリプスpost Apocalypseと重なる。

https://note.com/hiroshifukumitsu/n/nbca97dd0ecf7
中国「社会信用スコア」への誤解はなぜ生まれたのか MIT Tech.Review 2023年1月4日 
中国における社会的信用システム なぜそんなに怖いのか Tutanota 2022年11月10日更新 
現在の中国は「秦の時代」に逆戻り 1984年がやってくる NewsWeek 2022年10月11日
中国でディストピアものが規制されないのはなぜか? Note 2022年3月4日
「監視社会=暗黒」図式で中国語る日本、重要な視点抜け落ち Globe 2020年7月13日更
SFのディスピア思わせる中国のコロナ隔離生活 AFP BB News 2020年5月12日
本当はネガティブじゃない監視社会・中国のリアル AMP 2020年3月8日
中国の「社会信用システム」分かりやすくイラスト解説 Gigazine 2020年1月8日

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