ラ・ラ・ランド La La Land

 La La Landは2016年公開のミュージカル映画。2時間超の長尺だが、3回は通してみただろうか。主人公たちが、結ばれずに終わる展開が、大人の向きの映画に思える。誰でもこの映画を見ると、人生は甘くないということと、いろんな可能性を捨てて現在があることを想うのではないか。劇中何度も登場するのが、グリフィス天文台。La-La Landは不可能なことが現実になる場所、ハリウッドのことだとされる。








ここでは劇中会話から2つの単語を拾う。Shanghai'edとpipe dreamだ。script はThe Internet Movie Script Databaseによった。

一つは主人公の一人ピアニストのSebastian(Ryan Gosling)が姉のLauraに説教される場面で「上海されるShanghai’ed」が出てくる。Sebastianが、「俺が上海されたのは俺がミスしたわけじゃない。It’s not myfault I got Shanghai'ed.」という。Shanghaiedというのは、力づくで何かをさせることをいう。昔、太平洋航路の船員を強引に集めたところから、この動詞ができた。これに対してSebastianの姉さんのLauraは、即座にそうではなくて、騙されたのでしょうyou got ripped offと言い返している。なおLauraの最初のセリフにあるhermitは(宗教的理由などから)孤立して一人でいる人を指す。

Laura: You need to get serious. You live like a hermit. You're driving without insurance.
Sebastian: I am serious. I had a very serious plan for my future. It's not my fault I got Shanghai'ed. 
Laura: You did not get "Sahnghai'ed", you got ripped off.

もう一つは、Sebastianがもう一人の主人公である女優志望のMia(Emma Stone)に舞い込んだオーディションの話を伝えに、田舎に戻ったMiaを迎えにゆくと、Miaは自分は自信を失っていると述べる場面。ここに叶わない夢のことをpipe dreamと表現する場面がある。

Mia: May be I’m one of those people who's always wanted to do it but never had a chance. It's  a pipe dream.

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                  Film Analysis


ガンジー Gandhi

 Gandhi はマハトマ・ガンジー(1869-1948)に関する自伝的映画。1982年公開。リチャード・アッテンボロー監督、ベン・キングスレー主演。3時間を超える長尺であるため、何回かに分けて見て詳細を理解できた。南アフリカでの人権運動。そしてインドでの非暴力不服従(nonviolence and disobedience)の独立運動。さまざまなエピソード(たとえば1919年4月のアムリットサールの虐殺など)がその背景とともによく理解できた。

 映画を見て、理解が深まったのは、イギリスによる暴力的支配が、インド兵やインド人警官を使ってインド人に暴力を加えるものであったこと。また、イスラム系とヒンズー系の対立が、独立運動を複雑にしたこと。映画は, 分離独立論者であったイスラムの指導者ジンナ(1876-1948)が、ガンジーと対立する姿を描いている。

 諸民族諸宗教の融和を求めたガンジーはイスラムに妥協しすぎるとして、熱狂的なヒンズー主義者から恨みを買い、それがガンジーの命を奪うのだが、熱狂的なヒンズー主義者の問題は映画の中では、ぼやかされている印象を受けた。

The beginning of the film


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グレートウオール The Great Wall

 The Great Wall 米中合作で2016年に公開された映画。主演マット・デイモン 監督はチャン・イーモウ。巨額予算を掛けた映画。タイミングとしては米国での大統領選挙の年。興行成績や映画評は良くなかった。場面場面で意表を突く映像はあり、映像は楽しめる。ただそもそも中国で発明された火薬を求めて、デイモンたちが長城(万里の長城)にたどりつくという出だしから、中国の宣伝映画の臭いがして、息苦しくなる人はいるかもしれない。また面妖な怪獣との闘いが主に描かれるのだが、なかなかその世界観に共感はできない人も多いかもしれない。男女の愛憎も、立場による葛藤もなく、ただ怪獣とのバトルが連続する展開は、正直に言えば幼児向けに見え大人の観客の嗜好には合わない。政治を外して娯楽作品にするとしても、もっと心理描写を中心に作れなかったものか。この心理描写の浅さがこの映画の評価を下げた点ではないか。その意味で、長城で防いでいるものをそもそも怪獣にする必要が逆にあったのかと思わないではない。

movie clip


 ところで私がこの映画製作で注目したのはマット・デイモンら白人俳優起用について起きたwhitewashing批判である。whitewashingは本来、非白人俳優が起用されるべきところを白人俳優を起用することを批判する言葉。またその時に、非白人の役割が侮蔑的な役として演じられていないかも議論されている。しかしこの映画の中で白人俳優たちは活躍するのだが、あくまで中国文化の引き立て役であり、中国への敬意を保っているように見える。チャン・イーモウは白人俳優を主役に起用しつつ、彼らが中国へリスペクトする姿を描こうとしたように見える。つまりwhitewashing批判は成り立たないと私は考える。むしろ中国側は、デイモンたちを利用して、西欧人が中国に畏敬の念を抱く姿を描き、かつ宣伝塔として合作映画の興行的成功を期待したのでないか。しかしその中国側の意図はあまりにも見え過ぎたのかもしれない。
   whitewashにはうわべを取り繕うという意味があり、それと白人を起用するという意味とを掛け合わせていると思われる。環境問題について、これと似たgreenwashあるいはgreenwashing批判がある。具体的には、企業が自社製品や活動を具体的な根拠なしに、「環境にやさしい」と宣伝する行為が厳しく批判されている。

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エンドオブホワイトハウス Olympus Has Fallen

 Olympus Has Fallen (2013)   2013年公開の米映画。北朝鮮?のテロリストによりホワイトハウスが襲撃され、襲撃によりホワイトハウスが陥落し破壊されるという内容。韓国の首相に随行する警備陣にテロリストが紛れ込み、この韓国首相も混乱の中あえなく殺害される。Olympusはこの映画のなかでは、ホワイトハウスを意味するコードネームになっている。

movie clips


 テロリストの要求は、韓国からの米軍の撤退、日本海からの米艦隊の撤退。大統領がテロリスクに捕縛され、命が危ない情況で、大統領代行を務める下院議長が、一旦はその要求を受け入れた場面で、これで韓国を失なったというフレーズが米高官から出てくる。
 という「あらすじ」なので、この映画が韓国でどのように鑑賞されたかが気になった。もちろん、テロリストによって、ホワイトハウスが簡単に制圧される展開には、それほど簡単に侵入され制圧されるはずはないと、多くの批判が出ている。ただこの映画は、北朝鮮という仮想敵国の存在を、米国民に意識させるには効果があったのではないか。
   北朝鮮がアメリカ本土にテロリストを送り込むという想定は一見奇抜だが、もしもそうしたことを北朝鮮が実行したら、即座に米国は対応できるだろうか。そうした問いをこの映画は投げかけた。なお北朝鮮の主張によれば、北朝鮮はすでに2012年12月に人工衛星を打ち上げ軌道に乗せることに成功しており、2017年9月に水爆実験にも成功している。
 この北朝鮮にどう向き合うべきか。トランプ大統領が対話路線を取り、キムジョンイルとシンガポールで対談したのは2018年6月12日のこと。さらに板門店で会談を重ねたのは2019年9月30日にことだった。

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ボーモルのコスト病 Baumol's cost disease


 

Baumol's cost disease ボーモルのコスト病

 当初のボーモル(William J.Baumol 1922-2017)の指摘は、音楽家を例に19世紀初頭と20世紀後半との間で生産性は変わっていないというもの。つまり人的活動に依存する分野では、生産性は変わりにくい。そしてもう一つの指摘は、それにもかかわらず「高等教育」「法務」「医療」などでは、その価格が、生産性の改善が著しい物的生産の分野より急速に上昇していることだった。この生産性の改善がほとんど見られない分野の高コストが、「ボーモルのコスト病」である。そしてこのことが可能であるのは、生産性を上昇させた側がこれらへの出費を賄えているからであり、政府の支出も関係しているとした。またボーモルは、この生産性の低いサービス業が、国民経済の中で比重を高めていることも見出した。

このお話しは、産業構成においてサービス業など生産性の低い産業が増加するとともに(二次産業の比率が低下するといった産業構成の変化とともに)、経済成長率が低下する現象を、ボーモル効果Baumol's effctと名付けることにつながっている。

ただ疑問として残るのは、サービス業としてくくったときに、そこには医者や弁護士など高給与の人々もいれば、末端の労働者のように低賃金の人たちもいる。生産性が低いにもかかわらず高コストの例示が「高等教育」「法務」「医療」とされるが、そもそもこれがサービス業の代表的なものだろうか。働いている人の数で考えれば「商業」とか「運輸」などがより代表的ではないか。「高等教育」「法務」「医療」はサービス業のなかでも特殊なものではないか。例示にも、くくりにも問題があるように感じた。

      autism   Baumol's cost disease   bulimia   bullshit job capital flight 
      China as a dystopia  choke point   coffee and urinary stone
  dementia   digital Leninism   hysteresis inclusive marketing 
  infection disease interstitial pneumonia  job type employment  
  market Leninism   menopause  osteoarthritis  peer pressure
      presbyopia  schizophrenia subarachnoid hemorrhage 
  US-China decoupling Z-generation  




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