Major Writings of Satoru Yosida

吉田曉よしだ さとる 1933-2014 氏の著述目録  1955年東京大学経済学部卒 全国銀行協会を経て1985年から武蔵大学経済学部に勤めた。同姓同名者が複数以上いる。1980年以降で試作した。

cf. 斉藤美彦 内生的貨幣供給説への到達とその深化 吉田金融論の形成過程 大阪経大論集 74(2) 2023/07 1-20

論説 内生的貨幣供給と信用創造 季刊経済理論 45(2)  2008/07  15-25

cf.  吉川顕麿 吉田曉氏における「預金通貨」論の研究 金沢星稜大学論集 41(3)  2008/03 11-21

論説 決済システムからみた都銀と地銀 金融構造研究 27  2005/03 19-23

書評 川合研「アメリカ決済システムの展開」2002    福岡大学商学論叢 48(4)   2004/03 587-597

学位 決済システムと銀行・中央銀行 中央大学経済学博士 2004/03/23

論説 信用創造と信用貨幣―小林真之氏他の批判に答える 武蔵大学論集 51 (2)  2003/12  33-57

論説 インフレ・ターゲット論の虚妄 金融の現実無視、信用創造の「原理」直視せよ 金融財政 2002/06/06    2-7

単著 決済システムと銀行・中央銀行 日本経済評論社 2002/04
同上書評 斉藤美彦 金融財政事情 53(22)  2002/06/10  46-
同上書評 小谷野俊夫 国際関係比較文化研究 1(1)   2002 147-156
同上書評 木村二郎 武蔵大学論集 50(2)  2003/01 303-323
同上書評 松本朗 金融経済研究 19   2003/03 111-113

共著 山口重克ほかと共著 現代の金融システム:理論と構造 東洋経済新報社 2001/03

論説 電子マネーは新たな通貨か 武蔵大学論集 48(3)  2001/03 47-77

論説 電子マネーとナロウバンク 新しいマネー、新しい銀行か 国際金融 1059  2001/02/01  56-63

論説 金融ビッグバンについて 上 国際労働運動 28(8)  1998/08  14-25
   金融ビッグバンについて 下 国際労働運動 28(9)  1998/09   50-56
論説 オーバーローン論再考 東京経大会誌 207  1998/01  141-153

論説 ナロウバンク論批判 武蔵大学論集 42(4)  1995/02   1-21

論説 金融システムの安定性とナローバンク論 金融 559  1993/10   4-10 

論説 ノンバンクの金融システムにおける位置 金融 530  1991/05   4-10

解説 金融自由化と金融制度 経セミ 429  1990/10   8-11

論説 決済システム・準備預金および中央銀行 F.F.Famaのアカウンティングシステムの検討 武蔵大学論集 37(2-5)  1990/03 157-178

解説 MMCの経済学 規制金利から自由金利へ 経セミ 406  1988/11 40-43

コメント 金融研究会「金融リストラクチャリングの基本問題」1988/06/29でのコメント 金融研究 7(3) 1988/10 1-13

論説 支払決済制度をめぐる諸問題 リスクを中心として 金融 498  1988/09  4-11

論説 ペイメント・システムのリスクと銀行の本質 武蔵大学論集 35(6)  1988/03 25-48

書評 スプレーグ「銀行破綻から緊急救済へ」 証券経済 163 1988/03 167-180

解説 金融自由化と金融政策-窓口規制から市場操作へ 経セミ 382  1986/11 34-39

解説 金利自由化段階における公定歩合と預金貸出金利 国際金融 767 1986/06/15 2-8

論説 歩積み・両建て預金を考える 論集 現代の金融問題4(金融システム) 日本経済新聞社 1980/05 所収

論説 過剰流動性は再燃するか(橋本長雄と共著) 論集 現代の金融問題2(短期金融市場)所収 日本経済新聞社 1980/03   所収

 



The Bank in film

The Bank in film

 銀行を描いた映画を3本取り上げる。

The Bank (2001)

  The Bank 2001(Wikipedia)



 この映画の中でフラクタル幾何学fractal geometryを使い株価を予測することが紹介されている。自然界にみられるフラクタル(部分が全体と同じ形になる自己相似性self similarityを示す図形)現象と、経済現象におけるフラクタル現象は似ている(同じものではないか)という考え方があり、そこからフラクタル幾何学を用いて、経済現象を予測するという議論が行われることがある。映画のなかでは、フラクタル幾何学を用いた株価予測を紹介されている(trailerの画面はフラクタル現象を象徴している)。経済物理学という言葉が社会をにぎわせた時期と、この映画は重なっている。ただ株価の動きがフラクタルだとすると、そこには、平均とか分散などの従来的な考え方(標準偏差standard deviationの大きさや価格変動率volatilityでリスクを把握する考え方)による株価分析の妥当性を否定する主張が控えている。一見ランダムに動くものを予測可能なものとするこの分析法は、従来的な株価分析の正当性を否定する側面も有している。
 

   cf. chaos theory and investing

   cf. chaos theory and butterfly effect


The International (2009)


Tom Tykwer監督 邦題「ザバンク 堕ちた巨像」 クライブ・オーウェル主演

ナオミ・ワッツ共演 Guggenheim美術館のramp(上階に向かうスロープ)で展開される銃撃戦が圧巻。1991年に破綻したIBBCの事件がモデルとされる。映画では、(国際紛争や政情不安の原因になる)武器の国際的輸出の背後に、それを資金的にカバーする銀行が存在するが、実はこうした銀行の存在を、軍事産業や政府が必要としている、それゆえこういう銀行は無くならないのだというstoryが語られる。


The Banker (2020)



 不動産業者そして銀行による人種差別。どのように乗り越えたか。白人地域に空き家はあり黒人地域は密集している。そして黒人の中にも資産を保有している人がいる。そこにビジネスチャンスがある。ただ銀行が融資に応じない。そこで銀行を買収することを思いついた。しかし買い手が黒人と分かると、相手は応じない。そこでどうしたか。ーこの映画は、人種差別社会が、どのように覆されたかを、黒人側から市場競争の視点で前向きpositiveに描いている。どこまでこの映画が、事実と重なっているかが気になる所だ。

   La La Land Lucy




Stationary State 定常状態

Stationary State by J.S.Mill from Principles of Political Economy Book Ⅳ Chapter Ⅵ (1848)
John Stuart Mill, Of the Stationary State from Principles of Political Economy, 1848

Herman E.Daly, Beyond Growth: The Economics of Sustainable Development, 1996

Critchley,P., The Stationary State of John Stuart Mill, 2004 e-book

植田和弘 豊かさとJSミルの定常状態 農林金融2005/05 20-262~21-263
      ミルは利潤率が低下して人的資本物的資本が一定の状態に至るとしたが 
  しかしその状態は人間の心の進歩向上の停止は意味しないとした
樫本直樹 持続可能な社会についての一考察 J.S.ミル「経済学原理」における「停止常態」の議論を手掛かりとして メタフュシカ 40    2009    79-89

Peter Victor, Herman Daly and the Steady State Economy, 2009

前原直子 J.S.ミルの利潤率低下論と「停止状態」論 季刊経済理論 47(3)  2010/10 79-90

前原正美 K.マルクス「資本論」における歴史法則と資本主義社会に行方:J.S.ミルの2つの「停止状態」論との関連で 中央大学経済研究所年報 43  2012  323-347

Rich Howarth, Economic Growth and the Stationary State, Center for Humans and Nature, 2012/07/12

Gareth Gale, Critiques of Growth in Classical Political Economy: Mill's Stationary State and a Marxian Response, Published Online 10 Sep. 2012 

原田雄太郎 田中俊次 再生エネルギー社会への転換の意義と地域自給に関わる一考察 J.S. MillとH.E.Dalyの所論を手がかりにして 東京農大農学集報 58(3)  2013 149-158

ハーマン・デイリー「定常経済について語る」世界889 2014/08より転載(幸せ経済社会研究所)

松下和夫 変革の思想としての持続可能な発展 現代の理論4号 2015/03

早川行雄 定常状態経済と社会の再封建化 一橋大学フェアレイバー研究教育センター No.1852  2015/11/25  46-58

原田雄太郎 持続可能な社会への転換に関する研究 2015

広井良典 希望としての定常型社会 DIO(連合総研)2016/01  6-9

大森正之 経済学における定常状態と持続可能性 Symbolic Housing no.48 2017 07-14

根井雅弘 英語原典で読む経済学史 ジョン・スチュアート・ミル webフランス 2018/04/20  白水社

安井俊一 J.S.ミルの社会主義論とマルクス 三田学会雑誌 112-1 2019/04  3-14

Yue Xiao, John Stuart Mill and China: Peeking behind China's stationary state, CHOPE(Duke Univ.) Working Paper No.2019-21 

Yue Xiao, John Stuart Mill on China's Stationary State, History of Political Economy, Oct. 2021, 53(5) , 833-856 
    ミルは「原理」のほかに「自由論」で中国の定常状態について論じている。中国では「独裁主義despotism」により蓄積は抑制されて定常状態が生じている。ミルには「原理」において定常状態を望ましいものと捉える観点とともに、30年以上にわたる東インド会社勤務の経験から、中国の定常状態について論じるもう一つの観点が存在する。

Stationary State in Encyclopedia com
 ミルは定常状態が望ましいものでありうることを初めて提起した。マルクスにとって資本主義は成長せねばならないもので改革されえないものであったが、ミルは「経済学原理」において、生産の方法は変化できないことを確言したが、生産の分配は社会の法や慣習に従うものだとした。また利潤の低下の結果としての定常状態を陰鬱な状態ではなく、経済進歩の完美な結果と考えた。またミルは、社会は定常状態を選択できると考えた。そこで人々(労働者階級)が自発的に人口を抑える結果、賃金の低下はなくなる。そしてさらなる成長の必要もなくなる。定常状態は人の進歩の停止を意味しないとしたことで、ミルは量的成長と質的成長とを区別したといえる。 

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Profile of Masaki Ina

稲正樹(いな まさき)  稲正樹 wikipedia 1949年生まれ 1973年北海道大学法学部卒 1977年北海道大学大学院法学研究科中退 1994年に北海道大学にて博士号授与。法学博士。 インド憲法の研究:アジア比較憲法論序説 北海道大学博士(法学)乙第4443号 1994...

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